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エナリス、FIP睨み「需給一体モデル」実証、再エネをグループ化

2020/06/04 20:36
金子 憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 エナリスとKDDIは5月29日、経済産業省が実施する2020年度のVPP(仮想発電所)に関する実証に採択されたと発表した。2021年度に始まる需給調整市場への参入準備に加え、2021年度から導入する再生可能エネルギー推進手法・FIP(フィード・イン・プレミアム)の下で、再エネ発電事業者をサポートする事業を想定した実証も取り入れる。

 この実証事業は、「令和2年度 需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」で、10の幹事企業が統括する企業グループが需要家の持つ蓄電池や自家発電機、空調など分散エネルギーリソース(DER)を使った需給調整の機能や精度などを検証する。同事業は2016年度から始まり、今年度が最終年度になる。

 エナリスとKDDIは、10グループのうちの1つとして採択された。両社のVPP実証では、共通課題として2つ、独自の課題として3つのテーマに取り組む。

 実証の共通課題は、(1)2021年度から開設される需給調整市場を想定し、需要家の負荷変動に合わせ、15分と45分以内の制御(三次調整力)を検証すること。そして、(2)市場価格に連動した「上げDR(デマンドレスポンス=受容応答)」と「下げDR」を実施し、小売電気事業者に及ぼす経済効果を検証する。

 加えて、独自の実証テーマとして、(3)家庭用蓄電池や自家発電機を使った周波数調整の制御とその有効性の検証、(4)再エネをグループ化した「発電バランシンググループ」と、需要家をグループ化した「需要バランシンググループ」との間で、需給をバランシングする「需給一体調整モデル」の実用性や課題を検証、(5)調整力として電気自動車(EV)を活用するためのシステム開発と制御の検証――を計画している。

 このなかで、(4)の「需給一体調整モデル」は、固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しによって2021年度から導入予定のFIPを想定している。FIPの下では、再エネ発電事業者は、独自に売電先を決めて契約するとともに、発電量を予測して計画値を作成する必要がある。実際に運用が始まった場合、複数の再エネサイトを束ねてグループ化し、まとめて発電量を予測しつつ、複数の電力ユーザー全体との間で需給バランスを調整するようなビジネスモデルが普及する可能性もある。

 今年度の実証では、エナリスとKDDIは、こうしたFIT後を睨んだモデルを想定し、実証協力事業者として再エネ発電事業者である会津電力、レノバ、JREオペレーションズの3社と連携する。会津電力は、低圧で連系する小規模な太陽光発電所、JREオペレーションズとレノバは高圧や特別高圧で連系する大規模な太陽光発電所を多く運営している。

エナリスとKDDIによるVPP実証の実施体制
(出所:エナリス)
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 エナリスでは、「3社と連携することで、規模的、地域的に多様な太陽光発電所をグループ化した条件で発電量の予測精度などを検証できる。FIPに移行した後、再エネ発電事業者をサポートして需給バランスを調整するノウハウを得られる」としている。

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