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再エネ水素を使って高効率にCO2を回収、名古屋大

2020/06/05 16:15
工藤宗介=技術ライター
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H2ストリッピング再生技術を利用したプロセスの概要
(出所:名古屋大学)
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従来技術と今回開発した技術のプロセス比較
(出所:名古屋大学)
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 名古屋大学は6月3日、水素を用いて、火力発電所の排ガスなどから二酸化炭素(CO2)を効率的に回収する技術を開発したと発表した。従来のCO2分離・回収法に比べ、必要なエネルギーを大幅に削減できるという。再生可能エネルギー由来の水素を活用することで、脱炭素型の火力発電やカーボンリサイクルを推進できる。

 従来の二酸化炭素(CO2)回収・利用プロセスは、燃焼排ガス(CO2、窒素、酸素など)から純CO2を回収した後、水素(H2)と混合することでCO2還元反応を行う。汎用的な吸収液(アミン吸収液)は40度程度でCO2を吸収し、100度超の温度で純CO2を再生するケースが多く、3~4GJ(ギガジュール)/t-CO2もの多量のエネルギーが必要だった。

 研究グループは、CO2分離回収の省エネに取り組み、材料開発とプロセス開発の視点から研究している。今回、プロセス開発技術において、再生塔に水素を直接供給するH2ストリッピング再生技術を開発した。同技術は、再生塔内のCO2分圧が下がるため、液相から気相へのCO2の移動が促進され、85度の低温で再生することが可能になる。

 これまでに開発した90度の低温で再生できる相分離型吸収剤を組み合わせることで、H2/CO2比4(メタン合成条件)で吸収塔50度、再生塔60度で運転可能で、必要エネルギーは1GJ/t-CO2未満を達成した。さらに、メタノール合成(H2/CO2比3)や一酸化炭素(CO)合成(H2/CO2比1)に対しても、再生塔温度の低温化と省エネが可能。

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発(ALCA)の一環。同プロセスに再生可能エネルギー由来水素を用いることで、燃焼排ガス中のCO2を多様な炭素化合物に再利用する技術開発の加速とカーボンリサイクルへの貢献が期待される。

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