八幡平市で「地熱」を地産地消、電気と熱を農業に活用

2020/06/09 22:57
工藤宗介=技術ライター
「松尾八幡平地熱発電所」
(出所:岩手地熱)
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アーバンエナジーが調達する再生可能エネルギー
(出所:アーバンエナジー)
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熱水ハウスをIoT次世代施設園芸へと転換
(出所:八幡平スマートファーム)
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IoT活用による水耕栽培の自動化制御システム
(出所:八幡平スマートファーム)
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 岩手県八幡平市で、地元の地熱発電所を活用した取り組みが活発化している。

 JFEエンジニアリングの100%子会社である新電力会社アーバンエナジー(横浜市)は5月28日、地熱発電由来のCO2排出量ゼロとなる電力メニューを、いわて生活協同組合(岩手県滝沢市)に供給すると発表した。

 また、八幡平スマートファーム(八幡平市)は6月8日、地熱発電所から供給された熱水を暖房に利用するビニールハウス「熱水ハウス」を再生したと発表した。

 アーバンエナジーは、岩手地熱(八幡平市)が運営する「松尾八幡平地熱発電所」から電力の卸供給を受け、2019年から地産地消型の電力メニュー「八幡平地熱プラン」を設定し、八幡平市および近隣の顧客へ販売している。今回、同メニューに非化石証書を付加し、国内規定上、CO2排出係数ゼロと認められる形にした。

 いわて生協では、2030年までに2013年度比で温室効果ガス総排出量を40%削減する目標を掲げ、特に2011年の東日本大震災以降、太陽光・風力・木質バイオマスなどの再生可能エネルギー由来電力を積極的に導入している。「八幡平地熱ゼロエミプラン」は、いわて生協で初めての地熱由来電力で、盛岡市および滝沢市内の生協4店舗に供給する。

 岩手地熱は、JMCグループが29.915%(日本重化学工業が14.959%、地熱エンジニアリングが14.956%)、JFEエンジニアリングが29.913%、三井石油開発が29.913%、独立行政法人・石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が10.258%を出資する。松尾八幡平地熱発電所の定格出力は7.449MWで、施工はJFEエンジニアリングが担当した。2019年1月に本格稼働を開始した。

 また、八幡平スマートファームは、クラウドIoT制御システムの開発を行うMOVIMAS(東京都新宿区)と八幡平市の包括連携協定から設立された農地所有適格法人で、IoTを活用した次世代型施設野菜栽培などを手掛ける。1984年から「熱水ハウス」に取り組んできた高石野施設野菜生産組合から事業継承を受け、第1弾として「熱水ハウス」12棟を再生し「温泉バジル」を栽培した。6月11日に初出荷式を開催する。

 1966年に運転を開始した日本初の商業用地熱発電所「松川地熱発電所」(定格出力23.5MW)から温水供給を受け、花卉栽培を中心に手掛けてきたが、高齢化による離農や施設の老朽化などが課題になっていた。事業を引き継いた八幡平スマートファームは、未利用の「熱水ハウス」50棟を順次建て直し、IoT型次世代施設園芸に転換して収益性を高める方針という。