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航続725kmの蘭社製「太陽光EV」、車体一体パネルでDSMと提携

太陽光による1時間の充電で12km走行、裏面電極セルを曲面ガラスで封止

2020/06/10 19:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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LightyearのEV「Lightyear One」
(出所:Lightyear)
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ボンネットもルーフも太陽光パネルを一体化
(出所:Lightyear)
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車体の後部
(出所:Lightyear)
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曲面のある2枚の強化ガラスでセルを挟んで形成
(出所:Lightyear)
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 オランダの電気自動車(EV)ベンチャーであるLightyearは5月、総合化学メーカーのRoyal DSMと提携したと発表した。

 LightyearのEV「Lightyear One」は、曲面が多い屋根(ルーフ)や先頭部のボンネットに太陽光パネルを一体的に搭載する。車体のうち、上を向いた部分のほとんどが太陽光パネルとなる。

 これによって、日中は常に太陽光発電電力を貯めることができ、充電ステーションなどで充電する量を減らせる。走行時の航続距離も伸びる。

 提携によって両社は今後、量産車向けの開発に共同で取り組む。この技術を確立できれば、バンのような輸送用やバスなど幅広い車種にも応用できるという。太陽光パネルを車体に一体化したEVのこうした広がりも見据えた提携としている。

 LightyearのEV「Lightyear One」は、2021年に発売する計画となっている。発売する量産車のフル充電時の航続距離は725kmで、世界で最も長距離走行効率の高いソーラーカー(solar car)になるとしている。この航続距離は、国際的な燃費試験手法であるWLTPに準拠した数値としている。

 1台当たりの太陽電池セル(発電素子)の面積は5m2となる。セルは、曲面を含む2枚の超強化ガラス(double-curved and super-strong safety glass)で挟みこむ。

 太陽光パネルを車体に一体化するとともに、移動中でも停車時でも太陽光発電を直接、活用できる。太陽光発電による充電では、日射条件の最適時で1時間の充電で12km走行できるとしている。

 軽量化や走行時の空気抵抗が少ない車体形状など、航続距離を伸ばす他の要素の最適化にも取り組んでおり、こうした車体技術の効果も合わせると、年間の走行距離のうち70~90%を車体の太陽光発電による電気で賄えると強調している。

 セルは、米サンパワー製の裏面電極(バックコンタクト)型を採用している。表面に電極がないことから、セル表面に発電に寄与しない部分が減り、面積当たりの変換効率が高い。

 近年の世界各地のソーラーカーレースでは、上位に入賞するチームはほぼサンパワー製の裏面電極型を採用しているなど、クルマでの活用には定評がある。Lightyearの創業者も、ソーラーカーレースで活躍してきた人物である。

 Lightyearの車体一体型の太陽光パネルにおいて、DSMの樹脂製バックシートも鍵を握る部材の一つとなる。

 裏面電極型の太陽光パネルでは、裏面に銅配線を施したシートを貼る。この銅配線付きシートを含むバックシートで、DSMは強みを持つ。今回、採用するかは明らかではないが、DSMは銅配線付きシートを大幅に低コスト化する技術も実用化している(関連コラム)。

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