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ヨルダンの井戸を太陽光で汲み上げ、エンバイオが事業化

2020/06/23 22:08
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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赤茶色の粘土質の土が多い
(出所:エンバイオ・ホールディングス)
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現地の調査の様子
(出所:エンバイオ・ホールディングス)
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 土壌汚染対策などを手掛けるエンバイオ・ホールディングスは6月22日、ヨルダンにおいて、井戸の水をくみ上げる電源に太陽光発電を活用するプロジェクトを開始すると発表した。

 ヨルダン北部のシリア国境地域において実施する。現地の企業と合弁会社を設立し、まずモデルとなる設備を建設する。モデル設備の費用は80万米ドルを予定している。

 モデル設備で状況を確認し、導入する地域を増やしていく。

 現地は、砂漠ではないものの、粘土質の赤土に覆われた地域で年間の降雨量が限られ、水不足が深刻な地域という。

 ヨルダン全土でも、国土の90%以上の地域が年間降水量200mm以下で、国民1人あたり129m3にとどまる。水資源の開発と公平な利用が大きな課題の一つとなっている。近年はシリアなど近隣諸国から難民の流入が増え、さらに水不足が深刻化している。こうした水関連の課題の緩和に寄与できるとしている。

 井戸は、農業などに活用されている。井戸からくみ上げた水は、パイプを通じて送られたり、水運車で輸送されている。既存の井戸の動力は、主にディーゼル発電機である。発電機が故障すると、直さずにそのまま放置され、井戸も使われなくなる状況にある。

 この電源を、相対的に故障の少ない太陽光発電に替える。使われなくなって放置されている井戸を改修した上、動力を太陽光発電に替えて復旧する。対象となる井戸がある地域に、出力約700kWの太陽光発電設備を新設する。

 モデル設備はすでに着工している。施工では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うメーカーからの供給体制の遅延の影響を受けた。太陽光パネルとパワーコンディショナー(PCS)の納入時期が、当初の予定から約2週間遅れた。

 太陽光パネルは中国のトリナ・ソーラー製、PCSはドイツのSMAソーラーテクノロジー製を採用した。

 太陽光発電電力は、いわゆる「ネットメータリング」の仕組みで活用する。発電設備は、電力会社の送電網に連系する。太陽光の発電量から、井戸での自家消費分を差し引き、プラスになれば、夜間などに系統電力を受電しても、追加負担なしに利用できる。

 今回のプロジェクトは、中東の子会社を通じて実施する。アラブ首長国連邦(UAE)にあるエンバイオの現地子会社であるEnbio Middle Eastと、UAEの電気通信設備会社が出資して設立した合弁会社、Enbio Lel Taqaが実施する。エンバイオ側の出資比率は80%となっている。

 井戸から汲み上げた水は、合弁相手のUAEの電気通信設備会社のオーナーが運営しているヨルダンの水事業会社が販売する。

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