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風力に150MWの蓄電池を併設、火力の調整力代替

2020/06/24 16:12
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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出力315MWの風力発電所に隣接
(出所:Hornsdale Power Reserve)
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火力発電の調整力を代替して、州内の再エネ比率を大幅に上昇
(出所:Hornsdale Power Reserve)
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 オーストラリアのEssential Services Commission of South Australia(南オーストラリア州の生活に不可欠なサービスの認可・規制機関)は6月17日、独立系の再生可能エネルギー発電事業者であるHornsdale Power Reserveに対して、ライセンス対象としている蓄電システムの規模を出力100MWから150MWに拡大したと発表した。

 Hornsdale Power Reserveは、フランスの再エネ発電事業者であるNeoenの再エネ子会社の一つである。

 この蓄電システムは、南オーストラリア州のホーンズデール(Hornsdale)に立地する。既設の出力100MW、容量129MWhの蓄電システムは、2017年10月にライセンスが認可されていた。

 出力315MWの風力発電所「Hornsdale Wind Farm」の隣接地にある。風力の発電電力を需要のピーク時間帯に放電することによって需給バランスを改善し、近隣地域の系統の安定運用を支えている。米テスラ製の蓄電システムを設置し、運用している。

 稼働当初は、リチウムイオン蓄電システムでは世界最大規模としていた(関連コラム)。

 この蓄電システムを出力50MW、容量64.5MWh分、増設する。増設分もテスラ製を採用した。

 増設後の150MWの蓄電システムは、テスラの「Virtual Machine Mode」と呼ばれる機能を活用して運用する。これによって、現在は火力発電所が担っている調整力を代替する役割が加わる。

 これによって南オーストラリア州における再エネ発電電力の利用可能量は大幅に増え、州が目標に掲げている2030年に「再エネ100%」という目標の達成に近づくことに寄与するとしている。

 同州の電力系統は現在、太陽光・風力発電の出力抑制と、火力発電の出力調整を組み合わせることで、需給バランスを維持して安定的に運用されている。

 今回の増設後の150MWの蓄電システムは、この火力発電所の調整力を代替する役割でも使われる。これによって同州における火力発電の発電量を減らすことができる。

 Hornsdale Power Reserveは3月、今回の増設による蓄電システムの設置が終わり、増設分の連系に向けたテストを開始したと発表していた。

 このテストの当初、すでに運用している100MWの蓄電システムの停止が必要になった。そこで、南オーストラリア州政府、Australian Energy Market Operator、同州の送配電会社であるElectraNetとの協議を経て、他の主要な電源などが停止しておらず、かつ、電力需要が平均的な時期に実施した。

 その後、既存の蓄電システムを停止した環境下での検証項目が終わったことから、既存の100MW分は通常の運用を再開している。

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