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世界最大バイオマス発電でCO2回収、カーボンマイナス目指す

2020/06/25 19:26
工藤宗介=技術ライター
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Draxの発電所にある排煙脱硫装置。この巨大なパイプで、BECCSプロセスで回収されたCO2の90%以上を輸送しゼロ・ エミッションを目指す
(出所:Drax)
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CO2回収小型モバイル装置
(出所:三菱重工エンジニアリング)
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 三菱重工エンジニアリング(MHIENG、横浜市)と英国の大手電力会社Drax Groupは6月24日、Draxが英国ノース・ヨークシャー州に保有するバイオマス発電所からCO2を回収する実証プロジェクトを今秋から実施することで合意したと発表した。

 バイオマス発電と排ガスからのCO2回収・固定(CCS)を組みわせることで、大気中のCO2を減らす「ネガティブ・エミッション」「カーボンマイナス」(CO2排出量が正味マイナス)実現を目指す。

 同発電所は世界最大規模のバイオマス発電所で、出力660MWのボイラーを4基備える。パイロット試験では、12カ月間かけて1日あたり約300kg、年間約100tのCO2を回収し、バイオマス燃焼排ガスへの適用性を確認する。

 MHIENGは、1990年から関西電力と共同で火力発電所の燃焼排ガス向けのCO2回収技術(KM CDR Process)を商用化している。2020年6月現在で世界最大となるPetra Novaプロジェクト(米国テキサス州)を含む13プラントでの納入実績があり、さらに現在2プラントの建設が進められている。

 実証試験では、2種類のアミン吸収液「KS-1」「KS-21」を用いる予定。KSー1は、これまでMHIENGが納入したすべてのCO2回収プラントで採用され、信頼性と経済性で高い評価を得ているという。KS-21は、MHIENGと関西電力の共同研究による新たな吸収液で、KS-1と比べてさらに再生効率に優れ劣化も少ないのが特徴。今後、運用コストの改善など経済性の向上が期待される。

 CO2排出量が正味ゼロ(カーボン・ニュートラル)のバイオマス発電と、排ガスからのCO2回収・固定を組み合わせると、大気中のCO2を減らす効果がある。こうしたBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトによって、世界初となる商用規模での「ネガティブ・エミッション」実現を目指す。

 今後、BECCS導入によって最大で年間1600万tのCO2削減が期待される。これは、英国政府の「2050年までに温室効果ガスの排出量正味ゼロ」政策を達成するのに必要なCO2削減量の3分の1に相当する。また、地域の低炭素化を進めるとともに、5万5000人の雇用確保を見込む。

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