国内でも「グリーン・リカバリー」、経産省がアフターコロナで方向性

2020/06/26 18:44
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省は6月17日、産業構造審議会・総会を開催し、新型コロナウイルスの影響を踏まえた、「今後の経済産業政策の在り方」について議論し、方向性を示した。総会では、事務局(経産省)の示した資料を元に、産構審会長の中西宏明(日本経済団体連合会会長)氏が進行役を務めつつ、各委員が意見を述べた。

 事務局は、新型コロナにより加速する6つのトレンドとして、(1)接触回避、(2)職住不接近、(3)ギグエコノミー、(4)社会のリスク補完の必要性増大、(5)グローバリズムの修正、(6)社会理念・価値観の変容――を挙げた。これらを背景に、「新たな日常」として、雇用システム・人材育成・イノベーションの在り方、ビジネスモデルの変容や事業転換、地域経済の活性化・中小企業の新陳代謝の促進などについて、議論が必要とした。

 そして、日本が世界的な変化に取り残されずに「新たな日常」に適応していくためには、(1)医療・健康(感染症リスクへの対応)、(2)デジタル(デジタル社会の到来を前提にした安全・安心なインフラ整備)、(3)グリーン(気候変動問題への対応、エネルギー安全保障)――という3分野における取り組み強化と、分野横断的に求められる「レジリエンス」を高めることが必要との問題意識を示した。

 (3)の気候変動への対応に関し、事務局は、欧州における「グリーン・リカバリー」の動きを取り上げた。欧州委員会は、従来のCO2削減目標を引き上げ、新型コロナからの経済回復と脱炭素化を同時に進める「グリーン・リカバリー」を提唱し、戦略的にグリーン投資を推進し始めているという。

 こうした世界の流れを見据え、「日本でも再生可能エネルギーと原子力の重要性が改めて認識された」とし、「電源更新や電力網整備などに必要な投資が不足した場合、将来におけるエネルギー需給の逼迫や脱炭素化の停滞を招く可能性がある」との危機感を示した。

 そして、今後の方向性として、「非効率な石炭火力のフェードアウト、更なる再エネの導入・原子力の活用、電源の脱炭素化の取り組みと併せた需要側の電化、水素やカーボンリサイクルの技術開発などを積極的に進めるべきではないか」と問題提起した。

 また、レジリエンスの観点から、「地域の再エネや蓄電池を活用した分散型エネルギーシステムの推進、水素など新たなエネルギー源の実用化などを進めるべきではないか」との方向性も示した。

 こうした事務局の提案内容に関して、複数の委員から、「気候変動は先送りできない問題でコロナと同時並行で取り組むべき」「出力変動のある再エネを大量に導入するには、今後、電力系統への更なる投資が不可欠」など、賛同する意見があった。

 経産省は、今年度中には、「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論を始める見込みだ。こうした「グリーン・リカバリー」を踏まえた流れを受け、「基本計画」の中で再エネと原子力をどのように位置づけることになるのか、注目される。

「新たな日常」に適応するために強化すべき3分野
(出所:経産省・産業構造審議会総会・資料)
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