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美作市の「パネル新税」法案、市長辞任で審議されず廃案に

2020/07/03 22:34
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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美作市の「パネル新税」を巡り、市長選に注目される
(出所:日経BP)
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 岡山県美作市が導入を目指している「事業用太陽光パネル税」を創設する条例案が、6月の市議会で廃案となった。「太陽光パネル税」は、地方税法に基づく法定外目的税で、太陽光発電所のパネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。

 これまで美作市議会で専門家なども招いて議論してきたが、納税者への説明や理解が十便に得られていないなどの理由から、採決されずに継続審査となっていた。6月の市議会定例会で審議される予定だったものの、萩原誠司市長が辞表を提出するなど議会運営が混乱し、条例案について継続審査の手続きを取らないまま閉会となり、廃案が決まった。

 ただ、萩原市長は8月2日に投票される市長選への再出馬を表明しており、仮に再選され、市がパネル税の条例案を議会に再提出すれば、また審議の対象となる可能性はある。

 萩原市長が辞表を提出したのは、市議会に提案した教育長の人事案が6月18日に否決されたことがきっかけとなった。同市長は、市長の判断で議会による可決と同様の効力となる「専決処分」を発動し、否決された教育長人事案や補正予算案などを議会の承認を得ないまま進めた。これに反発した市議会が、市長の問責決議案を賛成多数で可決した。

 問責決議に法的拘束力はないものの、萩原市長は市議会の運営を混乱させた責任をとるとして、岡本泰介議長に辞表を提出した。これに対し、市議会は、専決処分によって、開催する意味がなくなったとして閉会した。条例案は審議しないまま廃案となった。

 「太陽光パネル税」は、事業用太陽光発電所のパネル設置面積に応じ、発電事業者に課税する仕組み。具体的には、パネル1m2当たり50円を5年間、課税する構想を掲げていた。課税対象は、出力10kW以上の野立てタイプの事業用太陽光発電所で、建築物の屋根上に設置した太陽光パネルは含まない。税収は1年で約1億円、5年間で5億円を見込み、 税収の使途(目的)は環境保全と防災対策のほか、町民の生活環境の維持向上としていた。

 仮に導入されれば全国で初めてとなり、他の地方自治体にも広がる可能性が高いことから、注目を集めていた(関連記:事美作市の「太陽光パネル新税」、市議会で4度目の「継続審査」に)。

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