定置型蓄電池市場、2035年に2.3倍、系統・再エネ併設向け伸びる

2020/07/21 12:14
工藤宗介=技術ライター
北海道に設置されたメガソーラー併設型の蓄電池
(出所:日経BP)
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 富士経済(東京都中央区)は7月17日、ESS(電力貯蔵システム)・定置用システム向け蓄電池の世界市場の調査結果を発表した。それによると、2019年の同市場は前年比14.3%増の1兆733億円だった。2035年には、2019年度比2.3倍の2兆4829億円まで成長すると予測している。

 同市場は、再生可能エネルギーの普及拡大や導入補助政策の整備、大規模な実証事業などを背景に急速に拡大している。電池別では、リチウムイオン蓄電池(LiB)や鉛電池(Pb)の搭載が多いが、長期的にはLiBが低価格化の進展に伴い大幅に伸長し、市場拡大を牽引すると予想している。

 用途別では、系統・再エネ併設用向けが最も大きく、2019年で4646億円を占め、2035年も2019年比3.0倍の3673億円まで伸長すると予測する。特に系統設置向けが大きく、電力系統安定化や域内電力需給管理、アンシラリーサービスなどのさまざまな用途で使用される。今後もVPP(仮想発電所)やDR(デマンドレスポンス)などのエネルギーサービスの一環として併設が進む見込み。

 住宅用向けは、2019年が1226億円、2035年が2019年比3.0倍の3673億円と予測する。太陽光発電の自家消費を目的とした導入や、自然災害や大規模停電への備えとして市場が拡大している。また、日本市場は、2019年が385億円、2035年が2019年比2.0倍の782億円と予測。固定価格買取制度(FIT)の買取期間が満了した「卒FIT」住宅太陽光の需要増加によりさらなる伸びが期待されるという。

 業務・産業用向けは、2019年が1362億円、2035年が2019年比2.5倍の3378億円と予測する。主に商業・公共の小規模施設に併設される100kWh未満の蓄電システムは米国やオーストラリアでの需要増加が予想され、2019年の439億円から2035年には2019年比5.5倍の2435億円と大きく成長する見込み。100kWh以上も堅調で、LiBだけでなくMW級の需要家向けにNaS電池やレドックスフロー電池も増加するとみられる。

 この他の用途では、中・大容量UPSや無線基地局用バックアップ電源向けなどが多く、2019年が3499億円、2035年が2019年比154.3%増の5398億円と予測する。無線基地局用バックアップ電源向けでは、中国で車載用LiBのカスケード利用(複数回利用)が積極的に検討・展開されているという。