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認定失効制度、既認定分は「着工済み」なら対象外

2020/07/22 23:48
金子 憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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 経済産業省は7月22日、有識者会議を開き、固定価格買取制度(FIT)の抜本見直しを含む「エネルギー供給強靱化法」が成立後初めて、再生可能エネルギーの推進に関する政策を包括的に討議し、今後に向けた論点整理のほか、認定失効制度の運用について方向性を示した。

 今回の討議内容は、7月17日に閣議後の記者会見で梶山経済産業大臣からの指示を受けた形になる。同大臣は、「再エネ型経済社会を創造していくという発想で、産業の競争力、インフラの構築、地域社会との共生の3つの面で再エネ政策を検討する」と表明していた。

 会合では、事務局(経産省)が、大臣から指示のあった3つの視点をさらに10の論点に集約した。「産業の競争力」では、(1)FIP(フィード・イン・プレミアム)制度の導入とアグリゲータービジネスの創出、(2)分散型電源の導入加速化、需要家意識改革、(3)蓄電池の普及拡大、(4)洋上風力の競争力強化。

 「インフラの構築」では、(1)基幹送電線利用ルールの見直し、(2)プッシュ型の系統形成、(3)産業基盤の整備、革新技術の研究開発など。

 「地域社会との共生」では、(1)事業規律の適正化、(2)認定失効制度、(3)地域の要請に応え持続可能な導入拡大を実現する取り組み――を挙げた。

 今後、これらの論点について、それぞれ専門の有識者会議で、さらに議論を深めつつ、必要な詳細設計に取り組むことになる。FIP制度における買取価格(プレミアム)の決め方やアグリゲーターの収益構造、基幹送電線の利用において「先着優先」に代わる新たなルール、認定失効制度における失効期間などに注目が集まる。

 これらの詳細設計のなかで、「認定失効制度」に関しては、緊急性が高いとして、具体的な運用についても討議した。同制度は、FIT抜本見直しの1つとして盛り込まれたものの、制度の詳細が不明であることから、「失効リスク」によって、複数のメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトのファイナンスが難しくなっていた(関連記事)。

 失効リスクが懸念されるのは、すでに認定を取得した案件で、改正法の施行する2022年4月時点で未完成が見込まれるプロジェクト。仮に今後、明らかになる失効期間が想定より短く、未完成のまま認定が失効すると、事業の継続が不可能になる。

認定失効制度の運用イメージ
(出所:経済産業省)
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 こうした状況に配慮し、事務局は、「2022年4月の改正法施行日までに、開発工事に着手済みであることが公的手続によって確認できた2MW以上の太陽光については、運転開始までの失効リスクを取り除く」との運用案を示した。「失効リスクを取り除く」とは、失効期間を20年として事実上、失効リスクをゼロにするという。また、「開発工事に着手」の要件は、電気事業法に基づく「工事計画届出」が受理されていること、とした。

 こした事務局案に関して、一部の委員からは、20年は長すぎるのではないかとの異論もあった。これに対し、事務局は「失効までの猶予期間として、どの程度必要かは、個別の案件によって大きく異なり、公平性の観点から、事実上の適用除外とする運用が適切と判断した」との経緯を説明し、最終的に委員全員の承認を得られた。

 この結果、2MW以上の認定済み大規模太陽光案件で、2022年4月の改正法施行時に未完成のプロジェクトに関しては、「工事計画届出」の受理をもって、事実上、認定失効制度を適用されないことになった。

 今後、認定失効制度の詳細設計では、改正法施行後の新規認定、2M以上の太陽光を除く法改正前の既認定に対する運用の行方が、残された主要な論点となる。

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