福島で世界最大級の水電解システム稼働、太陽光の変動出力に対応(page 3)

2023年ごろの商用化を目指す旭化成の開発戦略

2020/07/29 23:19
山口 健=⽇経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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水素製造コストの7~8割が電気代

 旭化成は40年以上の歴史を持つイオン交換膜法食塩電解事業で培った技術を基に、低コストで水素を製造するアルカリ水電解システムの開発を進めている。

 同社によれば、現状の水素製造コストの7~8割は電気代によるものであり、このため電解効率を向上する開発、すなわち1Nm3当たりの水素製造に必要な電気消費量を少なくする技術開発に取り組んでいる。装置自体の低価格化に加え、トータルの水素製造コストに関して競争力を持てる装置開発を目指しているという(図4)。

図4●旭化成におけるアルカリ型水電解装置の開発の方向
横軸は運転電流密度(A/㎝2)、左縦軸はエネルギー変換効率(%)、右縦軸は1Nm3の水素を生産するのに必要なエネルギー消費量(kWh/Nm3)。従来の水電解装置は左上の範囲にあり、狭い運転電流密度範囲で効電解効率が低かった。新開発した電極を搭載した装置では、広い運転電流密度にわたって高い効率を維持する。今後はさらに高い電流密度範囲でも高い変換効率とエネルギー消費量が少なくて済むような装置開発を進める(出所:旭化成)
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 電解効率を向上させる大きな要素となるのが、電極や膜といった材料開発となる。同時に、如何にメンテナンス・コストなどを削減できるかという観点も重要になる。旭化成では、「電極」に関しては水島(岡山県倉敷市)にプラントを建てた頃から長年培ってきた石油化学向けの触媒技術が応用されており、「膜」に関しては世界トップのポジションを持つLiイオン蓄電池のセパレーター(絶縁膜)向けの技術を活用している。

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