「コロナによる期限延長はない」「飛び地は個別に判断」、経産省が明言

2020/08/08 22:43
金子 憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ

 日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)は7月30日、固定価格買取制度(FIT)の抜本見直しに関する制度設計などに関して、政策担当者との意見交換会を開催した。経済産業省からは、新エネルギー課の清水淳太郎課長などが参加した。

 今回の意見交換会は、FIT見直し関する法改正後、7月22日に経産省が開催した有識者会議で、FIT見直しに伴い新たに導入する「認定失効制度」の方向性を示されたことを受けたもの。同制度については、改正法が施工する2022年4月時点で建設中のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の中に資金調達に影響するケースがあるとの声が寄せられていた。

 22日の有識者会議では、事務局(経産省)から、「2022年4月時点で着工済みであることが公的に確認できるメガソーラー案件に関しては、失効期間を20年として、事実上失効リスクをなくす」との方向性が示されていた。ただ、この案に関しては、一部の委員から異論があるなど、批判的な見方もあった。

 30日の意見交換会では、こうした経緯を踏まえ、参加者から経産省・政策担当者に対し、「複数の委員が異議を示したなか、今後、事務局案が修正され失効期間が10年や15年になるなど、失効リスクが残る形で決着することはないのか」などの質問があった。

 これに対して経産省の清水課長は、「複数の委員から失効リスクを事実上なくすことに関して異議があったのは確かだが、最終的に有識者会議を取り仕切る山地憲治座長から、事務局案を承認するとの言質を得られた。認定失効制度に関しては事務局の示した内容を前提にプロジェクトを進めてほしい」との回答があった。

認定失効制度の運用イメージ
(出所:経済産業省)
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「飛び地」が追加できる条件は?

 また、同じ有識者が会議で、事務局から新たな方向性が示された太陽光発電所の「飛び地の追加」に関しても多くの質問があった。「飛び地の追加」とは、FITで当初認定された地番から離れた場所に発電設備の一部を設置するケースで、これまで運用上、認められてきた。

 だが、事務局は今回、「当初の地番から数十キロも離れた飛び地を追加し、太陽光パネルの大部分を追加地番に設置するなど、制度の趣旨を逸脱した事例が出てきた。そのため、こうした制度の趣旨に反したケースが認められないよう、飛び地追加に関する運用ルールを見直す」との見解を公表した。

悪意のある「飛び地の追加」のイメージ
(出所:経産省)
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 意見交換会では、経産省・政策担当者に対して、「制度の趣旨を逸脱という表現は基準としてあいまいなので、飛び地として認められる距離やパネルの割合などを具体的に示してほしい」との要望があった。これに対し、経産省の清水課長は「飛び地の追加に関しては、事案によってまったく状況が異なるので、一律の基準を作るのは難しい。あえていえば、悪意があるのか、ないのかと言う点が重要で、賦課金を負担する国民に対して合理的に説明できるかどうか、という点が重要になる。微妙なケースは経産省に確認してくれれば個別に判断する」との回答だった。

 また、FIT見直しに関する制度設計とは別に、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策によって地域住民への説明会が開けないなど、新規プロジェクトの開発が遅れていることに関し、「コロナ対策と再エネ普及を両立させる観点からも、運転開始期限を1~2年延長するといった措置を検討してほしい」との要望が相次いだ。

 これに関し、清水課長は「太陽光の運転開始が想定よりも遅延する原因には、コロナ以外にも様々な要因があり、それらを区別するには運用上、難しい。現時点でコロナによる運転開始期限の延長は考えていない」との回答だった。