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浪江町に「水素柱上パイプライン」、太陽光水素を安全に運搬

2020/08/12 00:16
工藤宗介=技術ライター
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実証実験で使用するブラザー製の燃料電池「BFC4-5000-DC380V」
(出所:ブラザー工業)
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浪江町で稼働する、太陽光による水素製造施設
(出所:東芝)
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 ブラザー工業と巴商会(東京都大田区)、横浜国立大学の3者共同企業体は、福島県浪江町から水素エネルギー活用促進に向けた「水素柱上パイプライン」による輸送実証事業を受託した。8月6日に発表した。

 「水素柱上パイプライン」とは、上空にパイプラインを敷設して低圧の水素を送るもの。水素を安全かつ安価に輸送するのに最適な仕組みとして考案された。

 災害時などで配管が破断した時でも、空気より軽い水素は生活圏より上で拡散されるため、人や生活に影響が及ぶリスクが低いとされる。また、地中配管の場合は破断時に水素の漏出を感知するための付臭が必要になるが、水素柱上パイプラインではその必要がなく安価に輸送インフラを構築できるという。

 実証事業では、旧浪江中学校の敷地を使用して全長400mのパイプラインを地上約5mに敷設し、ブラザー製の燃料電池システムを用いて安全性の確認とリスクを管理する。安定稼働と安全対策に必要な情報を収集し、今後の実使用に向けた法的な観点での課題を検討する予定。期間は2021年2月26日まで。

 浪江町では、震災復興計画のひとつとして新規産業を創出するためのRE100産業団地を計画している。浪江町内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)でつくられた「地産水素」を水素柱上パイプラインで輸送して燃料電池に供給することを視野に入れている(関連記事:20MWのメガソーラーを「自家消費」、浪江町で水素製造) 。

 なお、海外の水素関連事業の動向に関しては、⽇経BP 総合研究所が7⽉31⽇に発⾏した「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の中で詳しく解説している。本書は技術解説のほか、中国・韓国・欧⽶豪の戦略を分析、2050年までの⽔素普及シナリオを描いている(「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の案内サイト)。

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