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2030年度「再エネ比率45%」も可能、自然エネ財団が試算

太陽光は政策的な後押しで145GWに拡大

2020/08/18 00:05
工藤宗介=技術ライター
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 自然エネルギー財団(会長:孫正義・ソフトバンクグループ代表)は8月6日、政策提言「2030年エネルギーミックスへの提案(第1版):自然エネルギーを基盤とする日本へ」を発表した。適切な政策的措置が行われれば、2030年に電力の45%を再生可能エネルギーで供給できることを実証的に示したという。

 提言では、現状政策ケースと、再エネ拡大を中心にエネルギー転換を促進する転換促進ケースを試算した。現状政策ケースでは、2030年度の電力需要を980TWhと想定し、再エネ発電量は320TWh、再エネ比率は政府のエネルギーミックス(あるべき電源構成)の目標(22~24%)よりは高いが30%にとどまる。また、原子力発電の再稼働が不透明なことから非化石電源は33~37%となり、政府目標の44%を下回るとしている。

 一方、転換促進ケースでは、エネルギー効率化と活動量の変化により2030年度の電力需要は850TWhに減少すると想定し、再エネ発電量は400TWh、再エネ比率は45%に拡大すると予測する。また、原子力発電と石炭火力は利用せず、残余の電力需要は天然ガス火力発電を中心に供給する計画。2030年度の総CO2排出量は、現状政策ケースでは9.63億t、転換促進ケースでは6.48億tと算定した。

 太陽光発電については、2019年度末時点で合計約55.6GWが稼働し、送配電会社の系統に接続している。内訳は、主に家庭用の10kW未満が11.3GW、主に産業用・事業用の10kW以上が44.3GW。さらに今後稼働予定の設備のうち送配電会社に接続契約申し込みを行っている設備容量は30.8GWで、稼働済み設備と合わせて86.3GWとなる。

 2030年度の太陽光発電設備容量見通しは、現状政策ケースでは住宅用が20.3GW、産業用(屋根置き)が15.7GW、事業用(地面置き)が66.1GWの合計102.1GWの見通し。発電コスト全体が安価になっていくことから自立的に普及する可能性が高いが、建物所有者が自ら設置する誘引は強くないため、普及速度は緩やかになると見込まれる。

 転換促進ケースでは、住宅用が25.8GW、産業用(屋根置き)が36.1GW、事業用(地面置き)が82.8GWの144.6GWとなり、現状政策ケースと比べて約40%増加する見込み。追加的な政策を講じることで、建物への導入、売電事業の自立化と活性化が起こり、さまざまなビジネスモデルが生まれて普及が加速すると分析している。

2030年度の自然エネルギーの見通し概要
(出所:19年度末の実績値はバイオエネルギーについてはFIT統計等より、その他電源については一般送配電事業者の接続容量より自然エネルギー財団作成)
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 具体的には、新築・改築時に再エネ導入を義務付ける新たな制度の導入を挙げる。実際に米国カリフォルニア州では、2020年から新築の戸建住宅・集合住宅に対して太陽光発電の導入を義務付けている。また、売電事業用太陽光の加速には、適切な水準のカーボンプライシングの導入が有効で、2025年ごろ以降には新規太陽光発電設備の発電コストが石炭火力発電の可変費(燃料費と運転維持費)を下回る可能性もあるとしている。

将来の事業用太陽光発電の発電コスト推計(発電側基本料金含む)
(出所:自然エネルギー財団作成)
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