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浪江町に水素サプライチェーン構築、丸紅など事業性を評価

2020/08/20 12:04
工藤宗介=技術ライター
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事業化調査の概要
(出所:3者の共同リリース)
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浪江町に稼働するFH2Rでは、メガソーラー電力で水素を製造
(出所:日経BP)
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 丸紅、みやぎ生活協同組合(みやぎ生協)、福島県浪江町の3者は、再生可能エネルギーから製造した水素や副生水素などを複数拠点から調達し、家庭や公共施設などに配送してエネルギーとして利用する仕組みを構築する。8月17日、フィージビリティ・スタディ(FS、事業化調査)を開始すると発表した。

 環境省の「令和2年度 脱炭素・資源循環『まち・暮らし創生』FS委託事業」に採択されたもので、2020年度中に成果をまとめる予定。環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」で採択を受けた、宮城県富谷市の低炭素水素サプライチェーン構築に向けた3年間の実証事業(富谷プロジェクト)での成果を活用する。

 富谷プロジェクトでは、太陽光発電の電力で水から水素を生成し、富谷市内のみやぎ生協組合員の家庭3世帯、みやぎ生協1店舗、児童クラブ1施設にサプライチェーンを構築。水素を水素吸蔵合金カセットに貯蔵し、みやぎ生協の物流ネットワークを活用して配達品とともに輸送する。利用者は、水素吸蔵合金カセットを純水素燃料電池に取り付けることで電気や熱を利用できる。年間4000Nm3の水素を製造し、年間2.5tのCO2削減効果が得られた。

 FSでは、富谷プロジェクトをベースに、福島県内のさまざまな水素源から純度の異なる水素を調達することを想定したIoT活用アグリゲーター(水素集積)システムなど、水素サプライチェーン構築の実現に向けてより具体的な事業モデルを評価・検討する。アグリゲーターシステムの検討には、富谷プロジェクトの共同実施者である日立製作所から外部協力機関として技術サポートを受ける予定。

 水素源には、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)、工場からの副生水素、固定価格買取制度(FIT)満了後の「卒FIT」再エネ由来水素などを想定する。FH2Rは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業として浪江町に設置されたPower to Gas研究施設で、20MWの太陽光発電設備と10MWの水電解水素製造装置を備える(関連記事:20MWのメガソーラーを「自家消費」、浪江町で水素製造)。

 FSの成果をもとに2021年度以降に事業化の実現を目指す。

 なお、海外の水素関連事業の動向に関しては、⽇経BP 総合研究所が7⽉31⽇に発⾏した「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の中で詳しく解説している。本書は技術解説のほか、中国・韓国・欧⽶豪の戦略を分析、2050年までの⽔素普及シナリオを描いている(「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の案内サイト)。

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