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2030年「再エネ比率44%以上」に、RE-Usersが提言

2020/08/21 01:47
工藤宗介=技術ライター
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将来の事業用太陽光発電の発電コスト推計(発電側基本料金含む)
(出所:自然エネルギー財団作成)
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 自然エネルギー財団が運営する「RE-Users(自然エネルギーユーザー企業ネットワーク)」は8月19日、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に向けて、政府と電気事業者に対して3つの戦略と9つの施策を提言した。戦略では、「2030年までに国全体の発電電力量の44%以上を再エネで供給すること」などを求めた。

 政府は国全体の温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比26%削減することを国際的に公約している。これを果たすため、電気の使用に伴うCO2排出量を同比32%削減する目標を掲げ、非化石電源(再エネと原子力)の比率を44%以上に高めるととしている。ただし、原子力の先行きは不透明な状態であり、再エネだけで44%以上を達成することが公約を果たす確実な手段になると指摘する。

 提言では、2030年までに再エネ比率を44%以上に引き上げることは十分に可能としている。自然エネルギー財団の「脱炭素社会へのエネルギー戦略の提案」(2019年4月)によると、エネルギー効率化とともに太陽光・風力発電の拡大を進めることで、2030年度に電力の40~50%を再エネで供給できるという。また、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの脱炭素社会に向けた長期シナリオ」(2017年)では、パリ協定で求められる脱炭素化を日本が世界に先駆けて達成することを前提に、人口減少と省エネが進むことを想定し2030年に再エネ比率が37~45%になると見込んでいる。

 さらに、国際エネルギー機関(IEA)の報告書「電力の変革」(2014年)では、日本を対象とした分析で太陽光・風力発電といった出力変動型の電源比率を25~40%にするのは現在の電力システムでも技術的に可能との見解を示している。変動型ではない水力・地熱・バイオマスといった電源も増えていくことを考慮すると、2030年までに再エネ比率を44%以上に高めることは、送配電ネットワークを含む電力システム面からも対応可能とした。

 このほかにも提言では、再エネ転換に向けた戦略として、2030年までに太陽光・風力発電の発電コストを化石燃料(石炭・ガス)の発電コストよりも低減させ、再エネ100%の電力を他の種別の電力と同等の価格で販売することを求めている。太陽光の発電コストは2020年代なかばに石炭火力より低くなり、2030年には1kWhあたり5円台まで低下すると見込む。電力価格は、固定価格買取制度(FIT)が満了する設備が増加することで需要家が負担する賦課金の上昇を抑えられ、火力発電減少に伴う燃料費低減と合わせて国全体の電力コストを抑制できるとしている。

 また、9つの施策ついては、エネルギー転換の推進として、(1)再生可能エネルギーの開発に関する規制緩和、(2)FIT(固定価格買取制度)に依存しない再エネの導入促進、(3)優先給電ルールの改定(再エネを最優先に供給)、(4)送配電ネットワークの改善・強化として日本版コネクト&マネージの早期実施、(5)送電網の強化に予算を重点配分、(6)配電レベルの電力融通を促進(送電事業と配電事業の分離も検討)、(7)企業・自治体の利用促進として.需要家と発電事業者でPPA(電力購入契約)を可能に、(8)環境価値のトラッキングシステムを整備、(9)FIT非化石証書の入札最低価格の引き下げーーを提言した。

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