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高純度シリコンを高効率に生成、太陽電池向け低コスト化も

2020/08/21 20:38
工藤宗介=技術ライター
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水素ラジカル発生装置と反応炉の概念図
(出所:NIMS、筑波大学)
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Si生成量の比較。水素ガスのみの場合は厚さ~1.3μm、水素ラジカルの場合は同~1.5μmと15%増加した
(出所:NIMS、筑波大学)
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 物質・材料研究機構(NIMS)と筑波大学は、半導体用高純度シリコン(Si)を生成するシーメンス法のSi収率を向上させることに成功したと発表した。コンピューターや太陽電池向けに需要が高まる高純度シリコン生成プロセスの改善や低コスト化が期待される。

 シーメンス法では、三塩化ケイ素(SiHCl3)を原料に、水素ガスによる還元反応を用いてSiを生成する。しかし、シーメンス法が行われる大気圧、1200度の環境下ではSiHCl3の熱分解が先に起こり、副生成物として化学的に安定な四塩化ケイ素(SiCl4)が発生する。そのため、Si生成収率が25%と工業化学プロセスとしては非常に低いのが課題だった。

 研究チームは、反応性の高い水素ラジカルを用いればSiCl4を生成させずにSiを生成できること、SiCl4からもSiを生成できることを熱力学的に予測してきた。今回、タングステン熱フィラメントによって大気圧以上で水素ラジカルを発生させ、圧力差を利用して水素ラジカルを別の反応炉(Si生成炉)に輸送する装置を開発した。

 同装置を用いて、水素ラジカルによるシーメンス法の副生成物であるSiCl4の還元反応(Si生成)を行ったところ、大気圧、900度の環境でより効率的にSiを生成することに成功した。水素ガスのみと比べて、水素ラジカルを導入した場合はSiの生成量が15%増加した。

 今後、Si収率の向上が見込める水素ラジカル発生装置の実用化が期待される。また、シーメンス炉に水素ラジカルを直接導入するだけでなく、排ガス処理プロセスに水素ラジカルを導入するなど、Si収率向上に向けたプロセス開発を目指す。

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