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稼働の6割、認定の9割が「輸入」燃料、「バイオマス白書2020」

2020/08/26 23:10
工藤宗介=技術ライター
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固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の稼働・認定状況
(出所:資源エネルギー庁資料よりバイオマス産業社会ネットワーク作成)
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 NPO法人・バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)は8月19日、バイオマス発電に関する動向をまとめた「バイオマス白書2020」を公開した。同白書によると、2019年12月時点で411カ所・合計出力221万kWのバイオマス発電所が稼働し、662カ所・同854万kWが認定されており、稼働容量の6割強、認定容量の9割弱が、主に輸入バイオマスを燃料とする「一般木材バイオマス」の区分となっている。

 2017年に「一般木材バイオマス」区分の買取価格引き下げ直前の駆け込み認定を受けた案件の建設・稼働が続き、それを受けてパームヤシ殻(PKS)や木質ペレットの輸入も2019年にそれぞれ245万t、161万tの合計400万tとなり、2018年から1.5倍に増加した。PKSの日本の港に入った時点のCIF価格は10円/kg程度、木質ペレットは20円/kg近いことから、安価なPKSに需要が集中している。

 パーム油を搾る際に出る副産物であるPKSは、日本に輸入可能な量は300万t台といわれており、発電事業者から固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電において大豆油、菜種油、クルミやココナツの殻、ジャトロファなどの新規燃料を認めて欲しいとの要望が出された。またPKS自体も、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)以外の認証制度の適用を求める声もあった。

 経済産業省では、2019年に「バイオマス持続可能性ワーキンググループ(WG)」を開催。議論の結果、マレーシア持続可能なパーム油(MSPO)、インドネシア持続可能なパーム油(ISPO)については、持続可能性の評価基準に関して不十分な項目があるとして適用見送りとなった。PKS以外も対象とする、持続可能なバイオマスに関する円卓会議(RSB)認証は適用を認められた。

 さらに、調達価格等算定委員会での議論を踏まえ、2020年4月に「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」を改定した。改定版ガイドラインでは、FIT認定対象となる農産物から生じるバイオマスはパーム油、PKS、パームトランクに限り、それ以外の新規燃料については専門的・技術的な検討が必要とされた。また、PKSについてもRSPO認証などによる確認が必要となった。

 このほかにも、ゴミ焼却施設については、コークスを利用するものも2021年以降もFIT制度の新規認定対象とし、2020年以前に認定を受けた案件が容量市場の適用を受ける場合もFITの対象から外さないこととした。さらに、メタン発酵によるバイオガス発電は、一般木材等バイオマス発電の区分で取り扱うことになった。

 2020年6月に成立、2022年4月に施行される見込みの「エネルギー供給強靱化法」では、電気事業法やFIT法などの改正を盛り込んでいる。FIT法の改正では、1万kW未満のバイオマス発電は2022年度に地域活用電源となりうる。地域活用としては、災害・停電時に自治体の防災計画などに位置付けられること、または自治体が事業を実施・出資するものであることが要件となる。

 同白書では、FIT制度のバイオマス利用については、将来的に経済的自立が可能な利用形態への誘導が重要と考えられ、より強力に熱電併給や熱利用へのシフトを促すべきと指摘する。また、例えば農山漁村再生可能エネルギー法の枠組みを用いつつ、小規模案件の未利用材の枠を撤廃すれば、より安価な残材利用の促進が期待されるとしている。

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