経済産業省は8月31日、有識者会議を開き、固定価格買取制度(FIT)の抜本見直しを含む「エネルギー供給強靱化法」の成立を受け、具体的な制度設計に着手した。
会合では、以下3つのテーマを討議した。(1)FIP(フィード・イン・プレミアム)制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスのさらなる活性化、(2)電力ネットワークの次世代化、送電線設備の増強・利用ルールの高度化、(3)長期未稼働案件への対応
FIP制度とは、再生可能エネルギー発電事業者が電力卸市場への売却など市場価格で電力を販売する場合、プレミアムを上乗せする方式。売電単価に市場変動の要素を加味しつつ、プレミアム分だけ売電単価を高くすることで再エネの事業性を高め、普及を後押しする。
2022年度から導入する予定で、大規模な太陽光や風力など、競争力向上が見込まれる再エネ電源がFITからFIPに移行することになる。これにより、国内の再エネ推進制度は、FITとFIPが併存する形になる。
経産省は、これまでの有識者会議のなかで、国内FIP制度のイメージを以下のように説明してきた。売電収入の基準となる「基準価格(FIP価格)」をあらかじめ決定しておく一方、一定期間ごとにある程度市場に連動した「市場参照価格」を設定し、基準価格と参照価格の差をこの一定期間内の「プレミアム」として固定する。
この場合、発電事業者の収入は、市場価格にプレミアム分を足した合計になる。収入は市場変動によって常に変動するものの、プレミアムは短期・一定期間は固定、長期的に変動する。これまでの議論では、市場参照価格は1カ月から1年程度ごとに見直すイメージを示している。
従って、制度設計にあたっては、「基準価格(FIP価格)」と「市場参照価格」の決め方、参照価格を変更する頻度などがポイントになる。