NEDO、FCVメーカーが持つ燃料電池の技術課題を集約

2030年以降の普及拡大に向けた研究開発事業を開始

2020/09/24 14:50
山口 健=⽇経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、燃料電池自動車(FCV)や定置型業務・産業用などを想定した燃料電池の飛躍的な普及拡大に向けた新たな研究開発事業を開始した。

 この事業では、2030年以降のFCVや定置型業務・産業用燃料電池への研究成果の実装を目指して、燃料電池の高性能・高耐久・低コスト化に向けた要素技術を開発するとともに、システム価格低減の障壁となっている水素貯蔵技術(水素タンクなど)などの共通基盤技術の開発に取り組む。また、燃料電池を様々な分野へ波及させるための技術開発・実証事業を実施する。

事業の展開イメージ
(出所:NEDO)
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 日本では、家庭用燃料電池コージェネレーション(熱電併給)システム「エネファーム」を2009年に、FCVを2014年に世界に先駆けて市場投入しているが、今後の自立的な普及拡大に向けてはさらなる高効率・高耐久・低コスト化が必要となっている。また製品を市場投入したことで多数の課題が顕在化している。

 こうした中NEDOは、2019年1月にトヨタ自動車や本田技術研究所、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)らとともにFCV課題共有フォーラムを開催した。ここでは燃料電池に関する技術課題のうち、メーカー同士が共通に持つ課題ではあるが、個別の企業では対応が難しいような協調領域の課題の抽出・共有を図ってきた。具体的には、トヨタとホンダから、「電解質膜の耐久性向上」、「運転温度の高温化」、「Pt使用量の低減化」、「Air由来のコンタミ耐性向上(電解質劣化成分による被毒を含む)」、「水素由来のコンタミ耐性向上」などの課題が挙げられた。

 今回は、こうした活動を通して得られた産業界の共通課題を解決し、2030年以降の飛躍的な普及拡大につなげるため、燃料電池システムに関する大規模な研究開発事業に取り組む。ユーザー・ニーズに基づく協調領域の基盤技術を開発するとともに、従来以外の用途に燃料電池を展開するための技術や大量生産のための生産プロセス・検査技術の開発も支援する。2020年2月から実施者を公募し、46件の研究開発テーマを採択した(一覧表は文末に掲載)。

 実施期間は2020年度~2024年度を予定しており、中間評価を2022年度に、事後評価を2025年度に実施する。2020年度の予算は52.5億円で、2020年度の年間の助成金の規模は1件あたり数億円程度としている。

 なお、燃料電池の応⽤動向に関しては、⽇経BP 総合研究所が発⾏した「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の中で詳しく解説している。本書は技術解説のほか、中国・韓国・欧⽶豪の戦略を分析、2050年までの⽔素普及シナリオを描いている(「世界水素ビジネス-全体動向編-」の案内サイト)。

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