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NEDO、ポーランドで「ハイブリッド蓄電池」実証、風力に併設

2020/10/08 15:44
工藤宗介=技術ライター
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ビストラ風力発電所に併設したハイブリッドBESS建屋
(出所:NEDO)
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ハイブリッドBESSの特性イメージ
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、委託先である日立製作所、昭和電工マテリアルズ、三井住友銀行とともに、ポーランド北部グダニスクのビストラ風力発電所に「ハイブリッド蓄電池システム(BESS)」を設置し、6月から試行運転、9月25日から本格的な実証運転を開始した。

 風速によって発電量が変動する風力発電を送電網に接続した場合、電力系統の運用に影響することから、短周期の出力変動を緩和したり、長周期変動による需給バランスを改善するために蓄電池の併設を求められるケースがある。

 「ハイブリッドBESS」は、出力特性に優れるリチウムイオン電池と、容量単価の低い鉛蓄電池を組み合わせ最適配分・制御することで、高性能と低コストの両立を目指す。

 今回導入したハイブリッドBESSは、昭和電工マテリアルズ製のリチウムイオン電池(出力1MW、容量0.47MWh)と、鉛蓄電池(出力5MW、容量26.7MWh)、2種類の蓄電池をハイブリッド制御する監視制御装置(BESS-DCS)、日立ABBパワーグリッド製のパワーコンディショナー(PCS、出力6MW)から構成される。ポーランド国内で最大規模の蓄電システムとなるという。

 平常時には、風力発電の短周期変動緩和、周波数制御用予備力の提供、需給バランス調整用予備力の提供、揚水発電相当の予備力の提供、電力需要シフト対応、といった機能を検証する。さらに、系統事故時には、潮流回り込みにより発生する送電線過負荷解消に蓄電池を活用し、系統増強の代替としてより広い範囲で蓄電池を活用する可能性も検証する。これらの検証を通じてハイブリッドBESSの経済性を評価する。

 ポーランドでは、EU指令に基づき再生可能エネルギー比率の引き上げを計画しており、特に風況に恵まれる北部地域において風力発電の大量導入を目指している。一方、電力インフラ設備の多くが建設から長期間経過し送電系統の余力が不足している、需給バランス調整を担う揚水発電所が老朽化していることから、経済的な負担を抑えながら電力系統を安定化させるシステムが求められている。

 このような背景のもとNEDOは、2017年3月にポーランド気候省(旧エネルギー省)との間で再エネ導入拡大に向けた「スマートグリッド実証事業」の基本協定書(MOU)を締結。2019年10月には電力系統安定化システム(SPS)を構築し稼働した。

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