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港湾設備を燃料電池で運用、再エネ水素の可能性も、豊田通商

2020/10/22 12:14
工藤宗介=技術ライター
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水素の地産地消モデル実現可能性調査の概念図(出所:豊田通商)
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 豊田通商と豊田通商アメリカ(TAI:Toyota Tsusho America)は、米国カリフォルニア州のロサンゼルス港において、港湾設備の動力源に燃料電池を採用し、燃料の水素を地産地消するモデルの実現可能性調査を9月から開始した。10月14日に発表した。

 ロサンゼルス港では、ディーゼル設備による大気汚染が長年の課題となっており、2030年までに港湾設備のゼロエミッションを目指している。フォークリフトなど小型や固定式の設備は電動化が進んでいるが、トップハンドラー(移動式のコンテナ輸送機)などの移動型かつ高出力を必要とする大型設備は稼働時間や充電インフラの制約などが電動化の課題となっていた。燃料電池は、長時間の稼働と短時間の燃料供給が可能で、大規模なインフラ整備が不要のため、従来のディーゼル設備の代替として有望視されている。

 豊田通商は今回、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査事業「地産地消型水素製造・利活用ポテンシャル調査」に採択され、ロサンゼルス港および同港近郊において「大型港湾機材への燃料電池採用による水素活用の実現可能性調査」「家畜ふん尿を由来としたバイオガス活用による水素製造の実現可能性調査」を実施する。

 水素活用の実現可能性調査では、電動化が困難な大型港湾設備の稼働台数、運用実態、燃料消費量・供給方法、CO2・大気汚染物質排出量を調査する。また、TAIが新たに開発する燃料電池トップハンドラーと可動式超高圧水素充填車の実環境下での運用データを取得・解析して、現行ディーゼル機器と比較した安全性・運行実績を分析する。

 水素製造の実現可能性調査では、カリフォルニア州中央部セントラルバレーの酪農エリアを対象に、家畜ふん尿由来のバイオガスの製造状況および水素製造可能量、設備、コスト、供給方法を調査する。また、ロサンゼルス港周辺のガス改質による水素製造装置の性能や装置構成の評価、日本国内の技術および機器の適用可能性を調査する。

 調査結果をもとに、日本国内における電動化が困難な大型設備への水素活用への事業展開についても検討する計画。調査期間は2022年3月までの予定。

 なお、燃料電池の応⽤動向に関しては、⽇経BP 総合研究所が発⾏した「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の中で詳しく解説している。本書は技術解説のほか、中国・韓国・欧⽶豪の戦略を分析、2050年までの⽔素普及シナリオを描いている(「世界水素ビジネス-全体動向編-」の案内サイト)。

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