菅義偉総理大臣は10月26日、衆参両院の本会議で就任後初となる所信表明演説を行い、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」と宣言した。日本政府は、これまで2050年目標に関して、基準年を示さずに「80%削減」とし、あいまいな数値設定だっただけに、今回の「カーボンニュートラル宣言」で、すっきりとした目標設定となった。
その3日後の28日、韓国では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、「2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目指していく」と宣言した。中国は今年9月に「遅くとも2060年にカーボンニュートラルを目指す」と表明しており、これでアジア主要国でも、今世紀半ばまでに「温室効果ガスゼロ」という目標で、足並みが揃ってきたことになる。
経済産業省が今年10月16日に公表した資料では、2050年までのカーボンニュートラルにコミットしている国は、121カ国・1地域としているので、今回の日本、韓国の宣言によって、少なくとも123カ国が「2050年実質ゼロ」目標を掲げていることになる。
先進国では、日本の表明でG7(米、カナダ、英、仏、独、伊、日本)のうち、「2050年実質ゼロ」を表明していないのは米国だけとなる。ただ、バイデン大統領候補は「遅くとも2050年には排出実質ゼロ、2035年電力脱炭素化」を掲げているので、同候補が当選した場合、G7先進7カ国が同水準の2050年目標を共有することになりそうだ。