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「再エネ水素ステーション事業」廃止、大多数が再エネで賄えず

2020/11/18 20:23
工藤宗介=技術ライター
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再エネ水素ステーションの概念図
(出所:会計検査院)
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 会計検査院が11月10日に発表した「令和元年度決算会計報告」によると、環境省の「地域再エネ水素ステーション導入事業」が2021年度から廃止されることになった。交付申請の審査および事業実施後の実績の確認が十分でなく、大多数の交付案件が再エネ電力で賄われていないことが明らかになったという。

 同事業は、太陽光などを再生可能エネルギー発電により水素を製造して燃料電池車(FCV)などに供給する水素ステーション(再エネ水素ステーション)を導入する地方公共団体などに補助金を交付するもので、2015年度から実施している。補助金の交付要件として、水素製造の際に必要となる電力量の全量相当分を再エネ電力で賄うことを求めていた。

 しかし、検査の結果、環境省は交付要件に対して交付申請の審査および事業実施後の実績を十分に確認していなかった。さらに、導入された「再エネ水素ステーション」の通年の状況を分析したところ、補助金の交付を受けた全19事業のうち17事業で必要電力量が再エネ電力で賄われていなかった。これらの設備に係る国庫補助金交付額は19億3266万円に達した。

 その内訳は、再エネ発電設備を新設した7事業のうち5事業(交付額5億8596万円)において、必要電力量の一部(平均45.4%)しか再エネ電力で賄っていなかった。また、既設の再エネ発電設備を活用する12事業すべて(交付額13億4669万円)において、再エネ水素ステーション設置により必要となった電力量の増加分を全て購入電力で賄っていた。

 この結果を受けて環境省は、専門家の見解を聴取して技術情報を収集して検討し、現状の技術的な知見では必要電力量を適切に把握し、最適な再エネ発電設備の規模を想定することが困難との結論に達し、同事業の廃止を決定した。また、将来、同種の事業を効果的に実施するため、既に同事業で導入された再エネ水素ステーションを活用するなどして、必要電力量を適切に把握するため技術面を検証するとした。

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