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バイデン次期大統領で「クリーンエネルギーの官製市場拡大も」、NEDO分析

パリ協定に復帰し、4年間で総額約215兆円を投入

2020/11/24 19:01
工藤宗介=技術ライター
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米副大統領時代のバイデン氏
(出所:ウエブサイト=the WHITEHOUSE PRESIDENT BARACK OBAMA)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月18日、米国次期大統領ジョー・バイデン氏の技術イノベーション・気候変動政策について情報を整理・分析したTSC Foresight短信レポート「海外トレンド:バイデン次期大統領で変わる米国の技術イノベーション・気候変動政策」を発表した。

 同レポートによると、気候変動対策についてバイデン氏は、大胆な気候変動対策を打って気候変動や環境問題における不平等の是正を追求するという環境正義の基本思想を持つ。また、米民主党は、パンデミックも気候変動も科学者は長い間警告してきたとして科学尊重の立場を取るとしている。

 前政権が離脱した、気候変動問題に関する国際枠組み「パリ協定」については、その復帰を公約に掲げ、2025年での強制力を持った数値目標を議会に要求している。パリ協定では、米国は2025年までに2005年比26~28%(2013年比18~21%)のCO2排出量削減をコミットしている。さらに長期的には、遅くとも2050年までに米経済全体でCO2排出量をゼロにすべきとの専門家の見方に賛成している。

 また、影響力のある国々に対して目標の前倒しを働きかけ、気候変動の課題を外交、国家安全、通商の政策として組み込む。中国には一帯一路政策の全体の中でCO2削減をコミットさせると表明した。就任100日以内の気候サミット開催、「ミッション・イノベーション」への再関与も公約として発表している。

 7月14日に発表した「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画(Clean Energy/Sustainable Infrastructure Plan)」によると、4年間で総額2兆米ドル(約215兆円)を投入し、エネルギーに加えて道路・鉄道などの近代化、クリーンカー政府調達、充電スポット50万カ所、電池研究開発、ゼロエミッションスクールバス50万台、住宅150万戸の建設、200万戸の耐候化などに取り組む。また、別途7000億ドルの研究開発・産業支援で500万人の雇用を創出する。

 このほかにも、気候に焦点を当てた省庁横断的な新しい先進研究プロジェクト機関「ARPA-C(Advanced Research Projects Agency focused on Climate)」の新設を提言。グリッドスケール蓄電、ネット・ゼロ・エネルギービル、再生可能エネルギー利用の水素製造、カーボンニュートラルな建材、食料・農業分野の脱炭素化など、100%クリーンエネルギー目標の達成を支援する画期的な技術開発を目標とする。

 NEDOによると、地球温暖化対策をリードするEUとスタンスが近くなる可能性があり、それに反応し始めている国もあるという。さらに、エネルギー環境分野での国際協力が加速する可能性があり、国際ルールに則った上での気候変動の官製市場が拡大するという期待も生じる。日本の技術力への信頼はいまだ高く、さらなる日米協力・国際協力を視野に入れていくことも一案としている。

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