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国内初の「乾式」メタン発酵装置、道内企業が開発

2020/11/26 22:20
工藤宗介=技術ライター
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乾式メタン発酵プラントの概略
(出所:NEDO)
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原料自動投入装置・原料前処理装置
(出所:NEDO)
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高温乾式のFRP製メタン発酵槽
(出所:NEDO)
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 北土開発(北海道芽室町)、エア・ウォーター北海道、帯広畜産大学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業において、小規模酪農家向けに、国内で初めて「乾式」のメタン発酵プラント(バイオガスプラント)を開発した。NEDOが11月25日に発表した。

 この開発事業は、「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業(現:新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業)」。

 北海道では現在、約100基のバイオガスプラントが稼働する。その多くが乳牛100頭以上の中・大規模酪農家を対象としたもので、敷料(寝わら)として粉状のおがくずなどを用いる牛舎から排出される液状ふん尿を扱うため、「湿式」のメタン発酵プラントだった。

 一方で、北海道の酪農家の約75%を占める100頭未満の小規模酪農家は、敷料に麦稈(麦わら)などの長尺有機性繊維を用いることから、排出されるふん尿は半固体状でメタン発酵させるには高額な大型設備が必要となり、導入のハードルが高かった。

 今回発表した「乾式」によるメタン発酵プラントは、北土開発、エア・ウォーター北海道、帯広畜産大学が、北海道清水町で2018~2020年に実施した実証研究で得た成果を基に開発した。原料に半固体状の乳牛ふん尿を用い、メタンを約60%含むバイオガスを安定的、効率的に生成できる。さらに得られたバイオガスの一部を精製し、約98%以上のメタンを含む高純度メタンガスも製造できる。

 原料自動投入装置、原料前処理槽、高温乾式メタン発酵槽、固液分離装置、ガス発電機、燃料電池などで構成される。麦稈が混合した原料の投入から破砕、混合を一括処理できる技術を開発し、一切加水せず酪農家の作業負担もほとんどない原料の自動投入装置を完成した。1日あたり約6.2tのふん尿を処理できる。

 また、従来の湿式メタン発酵プラントでは機械式撹拌機を持つコンクリート製または鋼製の発酵槽を使い38度程度の中温発酵で運用するのに対し、乾式メタン発酵プラントではポンプ式撹拌機を持つFRP製の円筒横型発酵槽を採用し50度程度の高温発酵で稼働させることに成功。発酵槽の小型化・低コスト化に加えて、原料重量あたりバイオガス生成量30%増を実現。原料の破砕、撹拌能力の向上、高温発酵の採用によりメタン発酵効率を向上したことを実証した。

 実証機では、発生したバイオガスの多くを出力25kWのガス発電機に供給。24時間の連続稼働・発電が可能で、発電した三相200V電気や温水を牛舎に安定的に供給できることを確認した。

 今後は、蓄電池などを利用したエネルギーの最適化や再配分、長期連続運転による設備の安定性や製造コストの低減に関する検証を通じて、余剰バイオガスを精製した高純度メタンガスを燃料電池に圧送して住宅へ単相100V電気を供給する試験を実施する予定。さらに、メタン発酵の際に発生する消化液や固形残渣を代替肥料や再生敷料として活用する取り組みも進める。

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