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国内初の「コーポレートPPA」⁉、ウエストと大ガス

2020/12/01 10:29
金子憲治=日経BP 総合研究所、工藤宗介=技術ライター
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ヒューリックにより加須市に稼働した1.3MWのメガソーラー
(出所:ヒューリック)
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 需要家の敷地に立地しない、野立て太陽光発電所の新設案件で、固定価格買取制度(FIT)を利用せず、売電する動きが出てきた。

 ウエストホールディングスは9月1日、大阪ガスにFITを利用しない「非FIT太陽光発電所」から電気を供給し始めたと発表した。同発電所で発電した電力は、大阪ガスと8月28日付で締結した契約に基づき、大阪ガスへ長期間にわたり供給する。

 また、不動産大手のヒューリックは10月22日、埼玉県加須市のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の電力をFITで売電せず、グループの電気小売事業者を通じて、ヒューリック本社ビルに電気を供給すると発表した。

 いずれのケースも、太陽光発電の電力を電気小売事業者の仲介で電力需要家に供給する形で、売電単価や売電期間は電気小売事業との間で相対により決めたと見られる。国内の法制度では、電力需要家が発電事業者から直接、電力を購入できないため、こうしたスキームになるものの、今回のケースは、米国など広まっている再生可能エネルギー電源の「コーポレートPPA(電力購入契約)」に実体的に近い仕組みになる。

 国内では、発電事業者が、電力需要家の敷地内に太陽光発電設備を設置し、需要家とPPAを契約して電力を供給するスキームが、「第三者所有モデル」「PPAモデル」として広まっている。この仕組みは、一般送配電事業者の電力系統を使わず、託送料が発生しないため、事実上の「太陽光の自家消費」として事業性を確保しやすい。

 ウエストHDとヒューリックのPPAでは、野立て型太陽光で需要家の敷地と離れているため、売電するには一般送配電事業者に託送料を支払う必要があり、これまで事業性の確保に課題があった。ただ、メガソーラーの発電コストが一段と低下してきたなか、FITによる再エネでは具備しない環境価値が評価されることで、国内でもこうした「コーポレートPPA」的なスキームが増える可能性がある。

 実際、ウエストHDでは、今後3年間で1GWの非FIT太陽光発電所を建設する計画としている。大ガスとの契約は、その第1号となるという。ヒューリックも、今後の自社グループのRE100達成のため、環境価値のある非FIT再エネを活用する方針という。

 ウエストHDは、「非FIT太陽光発電所は、FITのような賦課金が発生せず、国民の費用負担に依存しない発電所になる」と、その意義を強調する。

 同社グループでは、太陽光発電所のEPC(設計・調達・施工)およびO&M(運営・保守)サービスに特化し、累計1.35GWを建設してきた。今後、RE100などの環境志向が高まるなか再エネを利用した企業活動の推進を望む顧客向けに、非FIT太陽光発電所の建設を進めていくとしている。

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