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三菱重工、海外の「CO2フリー水素」関連企業に相次ぎ出資

2020/12/02 15:45
工藤宗介=技術ライター
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モノリス プロセス
(出所:三菱重工)
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米国ネブラスカ州で運転中の商用規模プラント
(出所:三菱重工)
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 三菱重工業は11月26日、オーストラリアで再生可能エネルギー由来のグリーン水素・アンモニア事業開発を行うHydrogen Utility(H2U)のホールディング会社であるH2U Investmentsに出資し同社の事業検討に参画すると発表。また11月30日、天然ガス由来のターコイズ水素製造技術を持つ米モノリス(Monolith Materials)に出資したと発表した。両社とも出資額は非公表で、マイナー出資になると説明している。

 H2Uは、南オーストラリア州南西部のエアー半島において洋上風力や太陽光発電を活用した水電解による水素製造プラントと、生成した水素を活用したアンモニア製造プラントの建設、および水素ガスタービンの実証を行うプロジェクトを計画している。2022年末のグリーン水素・アンモニア生産開始を見込んでいる。

 三菱重工では、設計仕様段階から検討に参画し、水素ガスタービンや水素コンプレッサーなど主要機器の供給も視野に入れる。また、CO2低減のためにインフラを共有するなど、近隣産業とのシナジー効果も合わせて検討する。

 一方、モノリスは、2012年に設立されたベンチャー企業で、天然ガスなどメタン(CH4)からプラズマ熱分解方式で水素(H2)と固体炭素(C)を取り出す技術を持つ。タイヤなどの原料となるカーボンブラックなどの固体炭素を、再エネ由来電力を利用したプラズマ熱分解により生成する技術を柱に成長した。低質石油やコールタールなどを燃焼させて製造する従来プロセスに比べ、CO2排出を大幅に削減できる。

 2014年にカリフォルニア州で建設した実証設備においてカーボンブラック年間700tの製造実証に成功した。現在はネブラスカ州でカーボンブラック年間1万4000t、ターコイズ水素年間5000tの製造プラントを運転中。将来的には、カーボンブラック年間18万tの生産容量を持つ商用プラントの建設計画も進めている。

 三菱重工業は、幅広く脱炭素技術を評価するなかでモノリスの技術を非常に有望と判断し、今回の出資を決めた。今回のパートナーシップは、CO2フリー水素を世界標準にするために今後投資機会を評価していく上でのモデルになると考えているという。

 三菱重工グループでは、水素バリューチェーンの強化、多様化を進めている。再エネ由来電力を利用した水電解技術で製造される「グリーン水素」、化石燃料の水蒸気改質プロセスにCO2回収・利用・貯留(CCUS)を組み合わせる「ブルー水素」、天然ガスに含まれるメタンの熱分解により製造される「ターコイズ水素」など、多様なクリーン水素の製造技術の事業化に向けて積極的に取り組むとしている。

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