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水素駆動の「レール削正車」、欧企業が製品化

2020/12/13 11:54
工藤宗介=技術ライター
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MG11 H2
(出所:Linsinger)
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MG11 H2
(出所:Linsinger)
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 オーストリアのテクノロジー企業リンジンガー(Linsinger)は、燃料電池を用いた水素駆動レールミリングトレイン(レール削正車)を開発し、11月17日に一般公開した。

 新開発した次世代レース削正車の名前は「MG11 H2」。「レール削正車」とは、鉄道においてレール頭部の形状を適性に保つために削る作業に使用する車両のこと。「MG11 H2」は、削正屑をほぼ完全に分離する高効率の抽出システムを備え、排出物は燃料電池が生成する水のみとなるため、トンネルや地下鉄の内部を汚染せずに削正作業が行える。

 燃料電池は、約20年間の使用後に150kWの出力が可能な設計とした。運転に必要な最低限の電力が150kWであることから、燃料電池の交換時期まで出力を維持できるという。レール削正車での使用後には、固定設置用として他の目的に転用できる。

 また、容量60kWhの蓄電池システムを搭載し、燃料電池とともに稼働中(削正作業中)に必要なエネルギー(出力180kW)を供給する。燃料電池と蓄電池システムは冗長構成となっており、どちらかに障害が発生した場合でも線路を塞がずに移動できる。

 速度は時速50km。燃料は、削正時間2.5時間および作業現場への往復3~4時間を1シフトとして計算した場合で、1シフトに必要な容量および予備分を搭載できる。このほかにも、さまざまな線路幅に合わせることが可能で、必要に応じて複数の路線で使用できる。オプションで分岐に対応することも可能。

 遅延がなければ2021年に連邦鉄道庁(EBA)による承認を受け、同年夏には運用を開始する予定。価格は現在調整中だが、欧州において1000万ユーロ程度を想定している(工場出荷、オプションなし)。

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