「太陽光パネル新税」、議会でまた継続審査、事業者の過半が「反対」

2020/12/17 16:33
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
美作市は「事業用太陽光パネル税」の導入を目指す
(出所:日経BP)
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 岡山県美作市の市議会は、12月15日に総務委員会を開き、美作市が導入を目指している「事業用太陽光パネル税」を創設する条例案を審議し、「継続審査」とする提案に賛成多数で同意された。これにより、12月22日に開かれる市議会の定例会本会議でも、継続審査となることがほぼ確実となった。

 「太陽光パネル税」は、地方税法に基づく法定外目的税で、事業用太陽光発電所のパネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。具体的には、パネル1m2当たり50円を5年間、課税する構想を掲げている。課税対象は、出力10kW以上の野立てタイプの事業用太陽光発電所で、建築物の屋根上に設置した太陽光パネル、連系出力50kW未満で地目が田んぼか、かつて田んぼだった用地に建設した案件は課税対象から外す。

 税収は1年で約1億円、5年間で5億円を見込んでいる。税収の使途(目的)は環境保全と防災対策のほか、町民の生活環境の維持向上としている。

 「事業用太陽光パネル税」を創設する条例案は、市長の辞任に伴い、今年6月に廃案となったが、8月の選挙でパネル新税を推進する萩原誠司氏が再当選したことから、9月の定例議会に一部修正した上で、再提出された。9月の定例議会では、パネル新税への理解度合いを把握するために太陽光発電事業者と一般市民に対してアンケート調査を実施するとの説明があり、採決はその調査結果が出てから行うとして、継続審査となった。

アンケートの結果は?

 12月15日の総務委員会では、課税対象となる太陽光事業者に対するアンケート調査の結果が報告された。一般市民に対するアンケートの結果については、集計作業が間に合わず、総務委員会で結果を公表できないとの報告があった。

 事業者向けアンケートは、美作市内に在住在所の60件を対象に、パネル税への賛否を聞いた。市の担当者が電話をかけてパネル税の概要を説明した後、「賛同できる」「導入は止むを得ない」「賛同できない」を選択する、という形式で実施した。

 その結果、「賛同できる」は5件(9%)、「導入は止むを得ない」は20件(36%)、「賛同できない」は31件(55%)となり、市内在住の発電事業者でさえ、半分以上が「反対」の意思表示だった。

 今回の総務委員会では、「市外に在住の約170件の発電事業者は、パネル税の恩恵がなく一方的に課税されるだけになる。こうした事業者にこそ意見を聞くべきではないか」「賛否を尋ねる前の事前説明の内容や想定した問答集などを公表してほしい」「市民向けのアンケート結果を見たうえで採決すべき」などの意見が議員から出された。

 こうしたなか、議員から要望のあった追加情報がないまま採決できないため継続審査にすべきとの提案が全会一致で可決され、総務委員会での継続審査が決まった。

 これにより、パネル新税の導入は、仮に来年3月の本会議で可決されたとしても、新税導入は最速でも2022年度からになる。

 「事業用太陽光パネル税」が美作市で導入された場合、太陽光発電所の立地が多い他の自治体にも波及する可能性がある。再生可能エネルギーの低コスト化によりさらなる導入が求められる中、発電事業者に新たな負担を強いるパネル新税の行方が注目される(関連記事:美作市の「太陽光パネル新税」、議会で継続審査に、市はアンケート実施へ)(関連記事:美作市「太陽光パネル税」に反対意見、業界団体が市長に提出)。