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国内の脱炭素社会、デロイトが発電コスト試算

2020/12/21 20:58
工藤宗介=技術ライター
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2050年CN社会における電源構成
(出所:デロイト トーマツ グループ)
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発電・系統費用の比較
(出所:デロイト トーマツ グループ)
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2050年CN社会における電動車シェア
(出所:デロイト トーマツ グループ)
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 デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区)は12月21日、2050年にカーボンニュートラル(CN)が実現した時点での日本の社会経済にあり方についてシミュレーション結果をまとめたレポートを発表した。

 シミュレーションによると、再生可能エネルギー中心のケースでは、再エネ発電が約9割、原子力発電が約1割となる見込み。また、再エネの多くは太陽光・風力発電などの変動型再エネとなる。原子力発電の条件は「既設再稼働あり(60年廃炉)・新設なし」とした。この再エネ中心ケースの発電コストは、現状(2020年)の約2倍となる約22円/kWhと試算した。

 このケースでは、変動型再エネが電源構成の主役となるなかで、設備生産、工事・運営・維持管理などのサプライチェーン、各企業の事業運営の主体を太陽光・風力事業にシフトしていくことが求められる。一方、変動型再エネが大量に増加すると、多い場合で約40GW以上の蓄電設備を導入する必要があり、電力コスト上昇の要因となる。

 電力コストの上昇を抑制する可能性として、CCS(CO2回収・貯留)や水素発電などを活用して、既存の火力発電インフラを脱炭素化させる方法を挙げている。このケースでは、脱炭素型火力発電が約3割、再エネ発電が約6割、原子力発電が約1割と試算する。蓄電池への投資を約3~4分の1に抑制でき、発電コストも現状の約3割増程度の約14円/kWhに抑えることが可能という。

 また、CN社会においては、モビリティの電動化を進めることも必要とする。変動型再エネ調整のための蓄電機能として電気自動車(EV)を活用することも可能として分析した結果、乗用車におけるEV比率は約7割まで上昇した。EVを蓄電池として活用しない場合は、系統インフラや定置用蓄電池への一層の投資が必要となり電力コストの上昇につながる。

 このほかにもシミュレーションでは、変動型再エネの調整力として電解水素を生成し、需要側で利用することを織り込んでいる。その場合の水素需要は約1300億Nm3と推計する。CN社会では、大量に生じる再エネ余剰電力を用いてクリーン水素を生成し、熱源や輸送用燃料、基礎科学原料などに活用する「セクターカップリング」の考え方が重要と指摘する。

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