中国インリーが再建計画、地方政府が300億円以上を投入

2020/12/26 07:40
工藤宗介=技術ライター
中国インリー製パネルを設置した日本国内のメガソーラー
(出所:日経BP)
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 中国の太陽光パネル大手メーカー、インリー・グリーンエナジーホールディングスの子会社で河北省に拠点を置くインリーエナジー(中国)の再建計画「インリーエナジー(中国)カンパニーリミテッドおよびその他5つの製造事業体の再建計画」が、11月20日付で地方裁判所にあたる同省の保定市中級人民法院から正式に承認された。

 インリーは太陽光パネルの製造を軸に、セル(発電素子)やウエハ、インゴットポリシリコン原料までを自社生産する垂直統合戦略を取っていた。これまで全世界に25GW以上、日本には2.5GW以上を出荷し、2012~13年の太陽光パネル年間出荷量で世界第1位だった。しかし、巨額投資したポリシリコン原料工場が稼働後、国際市場のシリコン原料価格下落よって投資回収が遅れ、2015年には債務超過に陥った。

 会社の資産と負債の構造を最適化し、収益性の回復を主な目的に、会社を救済するための包括的な作業計画を設計した。2020年9月に第1回債権者会議が開催され再建計画案の投票を実施し、従業員・債権者グループ、初期投資家グループ、担保付債権者グループ、通常債権者グループいずれからも90%以上の賛同を得た。これを受け、同年10月に同計画の承認を人民法院に要請した。

 再建計画では、6つの事業体に関し金融債務の大部分を事業体の持ち分に転換し、金融債務およびその他の債務の一部を完全かつ着実に返済するとした。合弁の持株会社を介した債権者権利を株式に転換した債権者と、国営持株会社を介した保定市政府が新株主となる。保定市政府は、インリーの土地利用権利の処理を通じて、推定資本規模300億円以上の資金を注入する契約を締結する。また、第三者プラットフォームの資金注入も受ける。法院の判決の発効により、株式保有の変更および工場移転の準備を開始する。

 現在の経営陣が引き続き会社運営を担う。元の製造事業体の生産能力、サプライチェーン、技術、ブランド、販売チャネル、その他の資産を引き続き保持・運営し、顧客に対して受注と保証のコミットメントを果たしていく。今後は5GWの高効率セル生産能力と2GWの高出力タイプの太陽光パネル生産能力の確立に取り組む方針。同時に、天津市に3GWの高出力パネルの生産能力を確保し、合弁事業などで生産力を増強する計画。

 また、近年インリー主導で設立された「国家技術標準革新基地(PV)」が、国家市場監督管理総局の標準革新部門による検査に合格し、太陽光発電分野では初めて、かつ河北省で唯一の国家技術標準革新拠点となった。将来的には、国家研究プラットフォームを基点に、市場競争力と独自の知的財産権を備えたコア技術を開発し、N型TOPCon、HJTの技術的進歩を確保し、世界をリードするレベルを維持するとしている。