再エネ関連で規制改革、「所有者不明土地」でのメガソーラー開発が容易に
環境省、太陽光向け環境影響評価「ガイドライン」を公表へ
内閣府は12月25日、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」の第2回会合を開催し、これまでに出された再エネの規制に関する要望のなかで、前回のタスクフォース以降に進捗のあった項目を公表した。
同タスクフォースは、菅総理大臣による「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、再エネのさらなる大量導入に向け、制約となっている規制や構造的要因を見直し、改革していく目的で河野太郎・行政改革担当大臣の指示で設置したもの。
進捗のあった項目のうち、太陽光発電に関連したものは、(1)電気主任技術者の確保に向けた電気保安規制の見直し、(2)ゴルフ場など開発済み土地における環境影響評価手続きの緩和、(3)所有者が不明の土地における再エネの利用――の3つ。
(1)の電気保安規制に関する要望は、太陽光発電など再エネ設備の保守点検に必要となる電気主任技術者が高齢化などにより業界全体で不足している問題。
経済産業省は、これに対応し、「太陽光発電所における電気主任技術者の兼任要件や月次点検における遠隔監視システムによる現場点検の代替、外部委託承認制度における実務経験年数の短縮化に関して検討しており、2020年度内に所要の改正を目指す」としている(関連記事:経産省、電気保安の人材不足で対応策、災害時体制にも方向性)。
ゴルフ場跡地の環境アセスに「メリハリ」
(2)の環境影響評価(環境アセスメント)に関する要望は、一度開発された地域は、環境影響が比較的小さく、一定程度、近隣住民の理解も得られていることから、手続きの免除・省略を認めてほしいというもの。
これに対し、環境省は、「現行制度上、開発済み土地に関しては、植物や騒音などに関する項目を省略できる。加えて、現在、太陽光発電に関するメリハリのある環境影響評価に関する『ガイドライン』を作成しており、2021年6月中に公表する」としている。
(3)の問題は、所有者不明土地法に関わるもの。同法上、「地域福利増進事業」に再エネ事業が該当し得ることが明記されれば、該当する自治体から固定資産課税台帳などの情報が得られるため、その明記を要望した。
これに対し、国土交通省は、「現行の地域福利増進事業ガイドラインに、再エネ発電事業が対象となることを具体的に明記する改訂を2020年内に行い、ホームページなどで周知する」とし、対象となる再エネ発電事業を、「電気事業法による発電事業などに利用する電気工作物(出力1000kW以上などの要件を満たすもの)」とした。
これにより、出力1000kW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)に関しては、所有者が不明の土地を利用した開発が進めやすくなると見られる。