九電、2021年度の出力制御、1事業者「30日」に到達

「旧ルール事業者」は出力制御率12%も、オンライン化促す

2021/01/11 15:52
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

九州の太陽光、10GWに到達

 九州電力は、固定価格買取制度(FIT)で連系している太陽光発電の「旧ルール事業者」に対する出力制御(出力抑制)の回数が、2021年度には初めて1事業者当たり30回に達すると明らかにした。12月に経済産業省が開催した有識者会議(新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ)で明らかにした。

 「旧ルール事業者」とは、FIT開始初期に連系した事業者で、年間で最大30日の出力抑制を条件とした「30日ルール」が適用され、オンライン装置を導入していない場合、オフライン(手動)により1日単位で、出力を抑制する。来年度からは、この条件上、最多日数での出力抑制が課されることになり、出力制御率は10%程度になりそうだ。

 一方、2015年1月以降の接続申込みとなった事業者に適用される「指定ルール」の事業者は、無補償・無制限の出力抑制が接続条件となり、オンライン(自動制御)装置の導入が必須で、九電の遠隔制御により時間単位での抑制となる。「指定ルール事業者」は、新たな出力制御の運用によって、2021年度は「旧ルール事業者」に比べ、出力制御率は3%に留まるとしているが、今後さらに太陽光の接続量が増えていった場合、旧ルール事業者を大幅に上回る出力制御率になっていく可能性がある。

 同社によると、九州本⼟では、2021年度には太陽光発電設備の接続量が約1000万kW(10GW)に達すると予想され、接続可能量(30日等出⼒制御枠)の817万kWを約200万kW超過し、その後も引き続き接続量の増加が⾒込まれるという。

九州本土における太陽光設備の接続量・推移
(出所:九州電力)
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次年度、旧ルール事業者は「30回」

 九州本⼟では、2018年度10月から出力抑制が始まり、同年度には延べ26回、1事業者当たり5~6回。2019年度には延べ74回、1事業者当たりでは旧ルール事業者23~24回、指定ルール事業者15~16回。2020年度は延べ70~80回、1事業者当たりでは旧ルール事業者20~25回、指定ルール事業者10~15回の見込みという。

 2021年度に、これまでの運用方法で出力抑制を実施した場合、延べ95回で、1事業者当たりでは旧ルール事業者45回、指定ルール事業者13回となり、旧ルール事業者は、「30日ルール」で最大とされた30日を超えてしまう見込みという。

九州本土における太陽光への出力制御件数の実績と見通し
(出所:九州電力)
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 こうした事態が予想される場合、これまでの有識者会議での議論で、「指定ルール事業者の制御日数が⼤きく増加しないよう、旧ルール事業者の年間制御日数30日を最⼤限に活⽤しながら、指定ルール事業者は⼀律制御に移⾏する」と決まっており、九電では、2021年度からは、この考え方に従って、出力制御を運用するとしている。

売電ロスは1MW・年間300万円にも

 九電では、新たな運用に移行する2021年度に想定される出力制御率のシミュレーション結果を公表した。それによると旧ルール事業者は年間30回で出力制御率10.3%(オフライン事業者とオンライン事業者の平均)となるのに対し、指定ルール事業者は年間61回に達するものの、時間単位の制御などで出力制御率は3.3%に留まる見通しという。ただ、さらに太陽光の接続量が増加していくに従って、両者の差は小さくなり、将来的に指定ルール事業者の制御率が旧ルール事業者を上回っていくことになる可能性が高い。

九州本土における太陽光への出力制御量の実績と見通し
(出所:九州電力)
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 とはいえ、2021年度からしばらくの間は、オフラインの旧ルール事業者は、指定ルール事業者よりも、かなり多い制御量となる。ただ、旧ルール事業者のなかでもオンライン制御システムを導入した場合は、時間単位の制御に移行できるため、制御量は大幅に減少する。九電の試算では、2021年度ではオフラインの旧ルール事業者の制御率は12.1%なのに対し、オンライン化した旧ルール事業者は5.4%に留まるという。

 九電では、「仮に売電単価40円/kWh・1MWのオフライン・旧ルール事業者が、オンライン制御に切り替えた場合、年間で300万円程度の売電収入の増加が見込め、一般的なオンライン化費用である約500万円は2年で元が取れる。実際には、さらに手動制御のための人件費も削減できる。こうした利点を説明して、今後もオンライン制御装置の導入を促したい」としている。