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東南アジアの再エネ市場は2050億ドル、太陽光・風力に投資を

環境NGOが日中韓の再エネ投資に関する報告書

2021/01/13 21:32
工藤宗介=技術ライター
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日中韓国の東南アジアへの再エネ投資を分析
(出所:グリーンピース・ジャパン)
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 環境NGO(非政府組織)のグリーンピース・ジャパンは2020年12月15日、日本・中国・韓国の東アジア3カ国について、海外の再生可能エネルギー市場への投融資に関する調査報告書を発表した。3国の公的・民間金融機関の海外投融資を巡る課題を分析し、化石燃料から再エネへの投融資の転換について提言している。

 調査報告書「脱炭素エネルギー投資が求められる東アジアの『ネット・ゼロ』」では、3カ国のエネルギー投融資と強い結びつきがあり、近年再エネ市場が大きく成長している東南アジアを資金受け取り国側の事例として取り上げた。それによると、東南アジアの再エネをめぐり、今後10年間で2050億米ドルの投資機会があると分析する。これは、過去10年間の石炭市場の2.6倍の規模に相当する。

 日中韓3カ国は、2020年9~10月に相次いでCO2排出実質ゼロ(ネット・ゼロ)を表明した。その一方で、日中韓の主要公的銀行による太陽光および風力への投融資は、2009~2019年の10年間で91億米ドルにとどまる。同期間の石炭と天然ガスへの投融資は789億米ドルに達し、化石燃料に資金を提供する世界トップクラスの「G3」となっている。

 これらの公的銀行が、既存の専門知識を再エネ開発支援に活用することで、民間銀行・産業による投資を奨励するという重要な役割を果たせると提言する。2013~2018年の間、世界全体の再エネ投融資のうち民間が86%を占めており、民間銀行からの借入での投資、開発業者・産業・資金からの株式投資などが、多くの国においてエネルギーシフトを推進する原動力となっている。

 2021~2030年までの東南アジアの電力需要は、太陽光発電が1251億米ドル、風力発電が481億米ドル、その他再エネが326億米ドルの資本投資に相当する。さらに、東南アジアの新興グリーンボンド市場が公的・民間金融機関の化石燃料からの国際的な投資離れを促している。現在、東南アジアの太陽光発電投資の72%は同地域内からの投資となっている。

 日本政府に対する提言では、エネルギーの効率化、脱炭素化、蓄電、エネルギー貯蔵、グリーン水素などの技術革新、電力系統の増強などを前進させる先進的な政策が必要としている。また、公的銀行に対しては、政府のネット・ゼロ宣言と同様に、どのように化石燃料を排除するのかに関し、明文化するだけではなく、ネット・ゼロ目標達成へのコミットメントを強化するように求めている。

 このほかにも、地熱や水力への投融資を停止し、太陽光や風力への支援拡大を提言する。日本の海外再エネ発電への投融資は地熱や水力に集中しているが、地熱や水力は高額かつ稼働までに長期間を要する、受取国より投資国に有利なメガプロジェクトであることが多い。一方、太陽光と風力は石炭より安価になっており、より早い速度で雇用を生み出すなど、最も好まれる選択肢として確立されているという。

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