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バイオマス発電を含むマイクログリッドから「自己託送」、鹿児島県錦江町

2021/01/21 14:00
工藤宗介=技術ライター
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実証実験の概要
(出所:錦江町、京セラ、おおすみ半島スマートエネルギーの共同リリース)
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 鹿児島県錦江町、京セラ、おおすみ半島スマートエネルギー(鹿児島県肝付町)の3者は、木質バイオマス発電を活用した公共施設間の「自己託送」に関する実証実験を実施する。1月15日、共同研究協定を締結したと発表した。

 錦江町では、町内の森林資源を活用した再生可能エネルギーの地産地消および地域の減災・防災を目的に、2020年3月に錦江町役場田代支所を含む公共施設と出力45kWの木質バイオマス発電設備よるマイクログリッドを構築した。自営線で結ばれた公共施設に対して再エネ電力を供給している。しかし、深夜や早朝など需要が低い時間帯などにおける余剰電力の活用先がなかった。

 「自己託送」は、一般送配電事業者に託送料を払って「自家消費」を行うスキームで、需要者と発電者が同じ主体であることが基本となる。需給バランスを維持するなどの制約があるものの、「自家消費」のため、固定価格買取制度(FIT)の賦課金を払わなくて済む経済メリットがある。

 実証実験では、京セラが開発したエネルギー管理システム(EMS)を導入し、おおすみ半島スマートエネルギーの運用により木質バイオマス発電設備の余剰電力を錦江町役場本庁舎へ自己託送することで、購入電力量の削減と再エネ比率の向上を目指す。EMSによって、発電電力量と需要量を予測してバランスを維持するように送電する。送電には、九州電力送配電の送配電網を利用する。期間は10月から1年間の予定。

 錦江町は、2020年3月に再エネと地産地消による地方創生を掲げた「錦江町エネルギーマスタープラン」を策定した。町内の再エネ賦存量とその地産地消について調査・検討し、「再エネ利用率100%」といった目指すべき姿とロードマップ、大隅半島の将来構想を取りまとめた。 今回の共同研究は、マスタープラン実現に向けた第1歩となる。

 共同研究では、自己託送の実証実験と並行して、再エネの地産地消を核とした雇用創出による地域での経済循環と地域の脱炭素化に向けた新たな事業創出の検討を進める。町の主要産業である農業の担い手不足や耕作放棄地の拡大、公共交通機関の路線廃止や減便といった課題に対して、再エネと農業(スマートアグリ事業)、再エネと交通(地域交通事業)といった組み合わせが生み出す新しい価値創出を目指すとしている。

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