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「HIT太陽電池」に幕、三洋を買収したパナソニックの「誤算」(page 2)

GSソーラーとの破談後、新たな提携先が見つからず

2021/02/01 20:16
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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「HIT」はすでに賞味期限切れ!?

 その後、2014~15年になると、中国太陽電池メーカーの低価格攻勢が世界的に一層、強まり、先進国の太陽電池メーカーのほとんどはコストで太刀打ちできなくなった。もともと製造コストの高いHITへの逆風はさらに強かった。

 こうしたなか同社は、同じヘテロ接合型太陽光パネルの開発・生産を行っている中国GSソーラーに太陽電池事業の海外子会社を譲渡したうえで、太陽電池の研究開発機能を分離して新会社を設立し、共同で出資・運営するというスキームでの技術の継承や事業存続を目指した。しかし、昨年7月、中国GSソーラーとの協業契約を解消すると発表していた。

 GSソーラーが契約で定めた期限を超え、さらに新型コロナウイルスによる影響を考慮した期間を過ぎても、協業開始に必要な要件を満たさなかったため、と説明している。パナソニックは、新たな業務提携先などを模索するとしていたが、今回、「生産終了」を発表するとともに、二色の浜工場における太陽電池の研究開発機能を縮小し、人的リソースについては、成長領域へシフトする。

 「HIT」は、かつて世界をリードしてきた日本の太陽電池技術を代表するブランドだっただけに、その生産終了は、国内太陽電池産業の衰退を象徴する。太陽光の大量導入時代に入り、圧倒的なコスト力を持つ中国メーカーを前に、効率や耐久性における多少の優位性で対抗できないことは、米国のサン・パワーやドイツのソーラー・ワールドなど、HITと同様に付加価値の高い太陽光パネルで一世を風靡したメーカーの苦戦からも明らかだ。

 パナソニックがGSソーラーに代わる「HIT」事業の譲渡先を見つけられなかったのも、もはや「ヘテロ」技術の賞味期限が過ぎていることを物語る。

 10年後、FITで設置された結晶シリコン型太陽光パネルの張り替えが世界中で一斉に始まる。それまでに中国勢のコスト力に対抗できるような、革新的な次世代太陽電池を量産できるのか、太陽電池先進国ニッポンの復活に向け、残された時間は少ない。

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