首都高・遮音壁の両面に太陽光パネル、蓄電池も併設

トヨタと首都高速道路が共同実証、非常時に給電

2021/02/02 22:56
工藤宗介=技術ライター

発電効率は平置きと同等

 首都高速道路(東京都千代田区)は、災害時の首都高速道路への電力供給を目的に、太陽光パネルとハイブリッド車のリユース(再使用)蓄電池を組み合わせたシステムの構築について、トヨタ自動車と共同で研究している。2020年12月11日、辰巳第1・第2パーキングエリア(PA)での現地施工が完了し、実証実験を開始したと発表した。

 共同研究「再生可能エネルギーを活用した道路インフラのエネルギープラットフォームの構築」は、首都高速道路が2018年2月に公募を行い、トヨタ自動車がこれに応じて研究を開始した。辰巳第1・第2PA合計で太陽光パネル140枚(合計出力60kW)とハイブリッド車「プリウス」のリユース蓄電池(容量180kWh相当)を設置した。

防音壁に設置した太陽光パネル
(出所:トヨタ自動車)
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 太陽光パネルで発電した電力はリユース蓄電池に貯め、系統電力と合わせてPAで利用する。災害時など商用電力が停止した時は、システムが自立運転して電力を供給する。太陽光パネルは今回の共同研究向けに独自設計したもので、遮音壁の両面に貼ることで、一般的な平地に設置する場合と遜色ない発電効率であることを確認した。

防音壁に設置した太陽光パネル
(出所:トヨタ自動車)
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「カイゼン」で施工効率を大幅向上

 施工は大林組が担当した。トヨタ自動車が生産ラインで培った「カイゼン」を太陽光パネル取付工事に応用した「ハイウェイパネラック」工法を、大林組とトヨタ自動車が共同開発した。従来は遮音壁1ユニット(2枚)を取り付けるのに約30分必要だったが、新工法では約4分半で可能になり、車線の規制時間を従来の約半分に短縮できたという。

 従来の遮音壁の施工では、複数の重機を使用してクレーンでパネルを吊り下げて設置していたため、位置調整の際に何度もやり直しが発生していた。そこで、車の生産ラインで部品を安全かつ効率的に組み付ける手法を応用し、同じ作業者がパネルの移動と取付作業を1台のトラック荷台上で完結させる装置を開発した。作業人員を従来の6人から3人に削減でき、作業負担の軽減も実現したという。

「カイゼン」により開発した「ハイウェイパネラック」工法
(出所:トヨタ自動車)
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