大ガスと東ガス、低圧太陽光から非FITでPPA締結、数千サイトを集約

低圧事業用案件の新たな買い手に、稼働後の効率的な運営が課題

2021/02/04 22:20
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ

 大阪ガスとウエストホールディングスは1月29日、2021年度に開発する数千サイトの小規模太陽光発電設備から、20万kW(200MW)分の再生可能エネルギー電力と環境価値を長期にわたり相対で調達する契約を締結したと発表した。

 数千サイトを合わせて20万kW規模になることから、連系出力50kW未満の低圧事業用太陽光が主体になる。大ガスは、これら小規模の太陽光発電所から、固定価格買取制度(FIT)を利用せずに、直接、電力を購入することで環境価値を確保する。

 また、東京ガスは2月4日、リニューアブル・ジャパン(東京都港区)と、FITを利用しない太陽光発電所の電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。東京ガスは、同契約に基づきリニューアブル・ジャパンが今後取得する小規模太陽光発電所の電気・環境価値を20年間にわたり固定価格で購入し、RE100加盟企業など環境志向の高い顧客に提供するとしている(図)。

非FIT太陽光発電所の電力購入契約の概要
非FIT太陽光発電所の電力購入契約の概要
(出所:東京ガス)
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 低圧事業用太陽光案件の開発・運営大手のエコスタイル(大阪市)が今後、開発する小規模太陽光発電所をリニューアブル・ジャパンが取得し、発電した電力・環境価値を東京ガスが購入するというスキームを想定している。エコスタイルは同日、この件に関してリリースを出し、「これまで培ってきた低圧事業用太陽光の開発に関するノウハウを生かし、設置用地の収集、発電所のEPC(設計・調達・施工)およびO&M(保守・管理)をワンストップで担うことにより、発電所の長期安定稼働をサポートする」との方針を公表した。

 リニューアブル・ジャパンとエコスタイルは、別のリリースで業務提携を発表し、非FIT太陽光を500MW規模で新規開発する、としていることから、東京ガスに供給する電力は数百MW規模になることも予想される。

低圧事業用案件の「復権」も

 大阪ガスと東京ガスの今回の発表は、いずれも連系出力50kW未満の低圧事業用太陽光を多数、新規開発して、小売電気事業に活用するという点で共通している。小規模な再エネ電源は、発電量予測が課題になるが、多数サイトをまとめることで、相対的に予測が容易になる利点もある。東京ガスは、これまでの電力事業で蓄積した需給管理や電力小売りに関するノウハウを生かすとしている。

 低圧事業用太陽光は、2020年度認定分から地域活用要件が適用され、「自家消費率30%以上」と停電時の自立運転機能を要件にFITによる余剰売電か、営農型と停電時の自立運転機能によるFIT全量売電に移行しており、従来型の野立て型案件の全量売電はFITが適用されない。今回、大ガスと東ガスが低圧事業用太陽光からの発電電力の長期安定的な買い手となることで、FITに頼らずに、従来型の野立て低圧事業用太陽光を開発できることなる。

 低圧事業用太陽光は、2022年度以降、フィード・インプレミアム(FIP)による政策支援もないことから、今後、新規開発が激減すると予想されているが、大手ガス会社のような信用力のある需要家が新たな買い手となり、ファイナンスを確保して新規開発が継続する可能性も出てきた。この分野は、特別高圧や高圧線に連系する大規模太陽光に比べ、立地に制約が少なく、開発余地が大きいだけに、今後も再生可能エネルギー開発で一定の規模を維持できる道が出てきた。

 ただ、低圧事業用太陽光については、1サイトの規模が小さく、特別高圧や高圧案件に比べると稼働後のO&M(運営・保守)の効率が悪いという課題もある。経済産業省が低圧事業用太陽光の政策支援を事実上、打ち切ったのも、運営コストの高さから、発電コストが下がらないと判断したからだ。今後、ウエストグループのO&M会社やエコスタイルが、多数の低圧事業サイトをまとめて管理・運営することで、こうした低圧事業用サイトの非効率性を克服し、運営の低コスト化を実現できるか、注目される。

 FITによって売電している既存の低圧事業用太陽光は、FIT期間終了後の事業継続が危ぶまれている。今回の動きを見ると、大手ガス会社を発電電力の買い手とし、連携するO&M企業による集約的な運営・管理が軌道に乗った場合、FIT期間満了後の低圧事業用案件の担い手として、さらに多数のサイトを束ねていくシナリオも想定される。

開発する小規模太陽光発電設備のイメージ
開発する小規模太陽光発電設備のイメージ
(出所:大阪ガス)
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