国内最大7MWの屋根上メガソーラー稼働へ、東京製鐵

電気炉の「上げDR」実施、九州地区の余剰太陽光を吸収

2021/02/05 09:35
工藤宗介=技術ライター
田原工場の倉庫屋根に設置した太陽光パネル
(出所:東京製鐵)
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 東京製鐵は2月2日、環境への取り組みや環境関連データなどを取りまとめた「2020 環境報告書」を発行した。同報告書によると、2050年における「再生可能エネルギー100%社会」の実現に向けて、愛知県田原市にある「田原工場」に出力7MWの屋根置き型メガソーラー(大規模太陽光発電設備)の設置工事を進めており、2月に完成する予定。

 年間発電量は700万kWhの見込みで、屋根置き型太陽光発電としては日本最大級となる。公益財団法人・日本環境協会(JEA)が実施する「2019年度CO2排出抑制対策事業費等補助金(再エネ電気・熱自立的普及促進事業)」において、補助金公募採択事業として認められた。さらに、工場内遊休地を活用し、発電事業者による太陽光発電・風力発電も行う。

 このほかにも、宇都宮市の「宇都宮工場」で出力2MW、北九州市の「九州工場」で出力800kWの太陽光発電設備を導入する予定。いずれも2月に完成する予定で、3工場合計で年間980万kWhの電力を発電する見通し。さらに、岡山県倉敷市の「岡山工場」においても太陽光発電設備を導入する計画。いずれの太陽光発電設備も全量を自家消費する。

 また、九州工場では、平日の日中に九州で余剰となった再エネ電力を電気炉の稼働で吸収する「デマンドレスポンス(上げDR)」を実施した。九州地区では、2017年頃から、主に太陽光発電を中心とした再エネ電源の発電量が増加し、日中の供給量が需要量を上回る可能性が出てきたことから、九州電力から上げDRの提案があったという。

 電気炉の操業は、これまで時間帯が限られた中で行われてきた。安価な平日昼間の余剰電力を活用することで、生産量の拡大や省エネ、電力コストの低減につながるため大きなメリットがあり、再エネの有効活用にもつながるとしている。2019年度は春と秋の2シーズンで複数回の「上げDR」を実施し、延べ数十万kWの電力需要を創出した。

 同社は、鉄スクラップを主原料とした電気炉法による低炭素・循環型鋼材を製造している。国内鉄鋼メーカーから排出されるCO2は、国内全体のCO2排出量(年間約11.3億t)の約13%(年間約1.5億t)に達する。また、鉄鋼部門のCO2排出量のうち90%以上は高炉メーカーから排出されている。高炉法では、鉄鉱石から鉄を取り出す際に、酸化鉄から石炭(コークス)を用いて酸素を奪う還元が必要となり、その際にCO2を大量に排出する。

 電炉法は、鉄スクラップを電気で溶解することで鉄を製造することから、現時点の電源構成でもCO2排出量が高炉法と比べて4分の1以下になる。さらに、再エネ電力の普及によって電力の脱炭素化が進むことでCO2排出量はさらに低減できる。その一方、2019年の日本の鉄鋼生産における電炉比率は24.5%と、米国の69.7%、EUの40.9%と比較して低い数値にとどまっている。

 同社は2017年、CO2排出量を2030年までに2013年度比40%削減、2050年までに同80%削減を目指す長期ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を策定した。現在、政府の2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標公表を受けて、同ビジョンの見直しを進めている。