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「硫化スズ太陽電池」で世界初の新材料、高い開放電圧を確認

2021/03/10 21:16
工藤宗介=技術ライター
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pnホモ接合硫化スズ太陽電池の作製プロセスと発電特性
(出所:東北大学)
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 東北大学、米・国立再生可能エネルギー研究所(NREL)、山梨大学らの研究チームは3月9日、世界初となるpnホモ接合の硫化スズ太陽電池を作製し、高い開放電圧の取り出しに成功したと発表した。硫化スズは、希少金属や有害元素を一切含まず、地球上に豊富に存在する安全な元素のみで構成されるため、クリーンな次世代太陽電池の材料として期待されている。

 硫化スズを用いた太陽電池は、これまでp型の硫化スズとn型の異種材料を組み合わせたpnヘテロ接合の太陽電池が試作・改良されてきたが、発電効率は5%程度で頭打ちになっていた。同じ硫化スズで伝導特性の異なるp型とn型を組み合わせたpnホモ接合を用いれば発電効率の向上を妨げる欠陥を減らせるが、n型硫化スズの作製は容易ではなく、これまでpnホモ接合太陽電池の成功例はなかった。

 研究グループは、2020年8月にn型硫化スズ単結晶の大型化に成功したと発表。10mmを超えるn型単結晶が容易に入手可能になり、太陽電池作製時のハンドリングが飛躍的に向上した。このn型硫化スズ単結晶の上にp型硫化スズをスパッタリング法により成膜することでpnホモ接合太陽電池を作製し、成膜条件に一切の改良を加えてない試作品でも360mVの高い開放電圧の取り出しに成功した。

 この試作品の数値は、20年にわたって研究開発が続けられてきたpnヘテロ接合硫化スズ太陽電池のチャンピオンデータに匹敵し、pnホモ接合太陽電池の高いポテンシャルを実証した。試作品の変換効率は1.4%と既報のpnヘテロ接合太陽電池には届かなかったが、大型のn型単結晶を用いることで種々の条件で多数のp型層の成膜が可能でpnホモ接合の最適化が加速できることから、高い変換効率の実現が期待される。

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