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佐渡島と粟島を「自然エネの島」に、県が構想、太陽光・EV主体

2021/04/02 22:07
工藤宗介=技術ライター
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自然エネルギーの島構想(佐渡島)
(出所:新潟県)
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自然エネルギーの島構想(粟島)
(出所:新潟県)
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具体的施策のロードマップ
(出所:新潟県)
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 新潟県は、佐渡島と粟島において再生可能エネルギーの導入拡大により持続可能な循環型社会の実現を目指す「新潟県自然エネルギーの島構想」を推進している。3月31日、関連事業者や有識者、行政によって構成された検討会を踏まえ、中間とりまとめを発表した。

 離島である佐渡島と粟島は、トキをはじめとする多種多様で恵まれた自然環境を持ち、文化的な資源や、農林水産業や観光業など地域産業が発展してきた。その一方、人口減少と高齢化といった社会構造の変化、観光客の減少などによる地域経済の停滞、温暖化の影響による自然災害の激甚化などが課題となっている。また、エネルギー供給は、ほぼ島外からの化石燃料の海上輸送に頼っている。

 「自然エネルギーの島構想」は、佐渡島と粟島に再エネを大量に導入することにより、地域経済の活性化や防災力の向上とともに、豊かな自然環境を維持して、持続可能な循環型社会の実現を目指すもの。エネルギー自給率の向上とともに化石燃料の調達などに伴う島外への資金流出を抑制する。また、再エネ関連の産業振興による企業の事業拡大、新たな雇用創出、RE100による地産品ブランディングなどで地域を活性化する。

 中間とりまとめでは、エネルギー供給に関する現況と課題を整理。さらに将来の島内エネルギー受給の姿を提示し、具体的施策のロードマップを策定した。エネルギー供給面では、佐渡市は94%、粟島浦村は100%が火力発電に依存している。また、離島は電力系統の規模が小さいことから再エネ導入に制約があり、長周期および短周期での余剰電力対策、出力変動対策が必要となる。推進にあたっては、島民の理解、主体・費用負担の整理が必須と指摘する。

 将来の姿は、新潟県、佐渡市、粟島浦村の2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえ、2050年のCO2実質ゼロ実現に向けたエネルギー需給シナリオを推計した。国のグリーン成長戦略や離島の特性を踏まえて電力の約70%を再エネで、残りの電力と非電力部分は水素などの脱炭素電源・燃料で補うと仮定した。運輸部門は100%電動車となり、電気自動車(EV)を調整力として活用すると仮定した。

 2050年における佐渡島での再エネ発電量は11万9727MWh、調整力は500MWhを見込む。再エネの内訳は、自家消費型太陽光が35MW、産業用太陽光が34MW、洋上風力が15MW、バイオマスが2MW。また、粟島の再エネ発電量は1198MWh、調整力は1.2MWhを見込む。再エネの内訳は自家消費型太陽光が0.7MW、陸上風力が0.2MW。

 当面は太陽光の導入拡大を想定する。長期的には洋上風力の導入も考えられるが、系統規模に比べて出力が大きく送電上の課題があるため、今回は簡易的に15MWの風車1基を仮定した。中長期的には、技術革新により課題解決が進むことを期待している。

 ロードマップでは、2021年~2023年頃の先導的プロジェクトとして、初期費用負担のない住宅向け太陽光・蓄電池サービスおよび公共施設での再エネ導入事業、法人向け大型蓄電池の導入を検討する。また、2030年までの中期的プロジェクトでは耕作放棄地における太陽光発電およびバイオマス活用、EV導入推進、ピークシフトサービス、2050年までの長期的プロジェクトでは浮体式洋上風力発電の導入および水素の利用を想定する。今後も引き続き先導的プロジェクトの具体化に向け検討していく。

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