GSユアサは3月30日、同社京都事業所内にVPP(仮想発電所)対応の蓄電池システム(ESS)を導入したと発表した。平常時は電力逼迫時のピークカットによる電力コスト低減、停電時には既存の太陽光発電システムと組み合わせて電力を供給することで大規模災害発生時のレジリエンスやBCP(事業継続計画)向上に活用する。
単機出力100kVAのパワーコンディショナー(PCS)と容量101.2kWhのリチウムイオン蓄電池を組み合わせた同社製ESS「ラインバック オメガES」5基をコンテナに搭載することで、事業所内の遊休スペースを有効活用し、工期短縮や設置コストを低減した。また、空調設備によりコンテナ内を温度管理することでESSの可用性を向上した。電力コスト削減額は年間数百万円程度という。
ESSに独自開発のネットワークインタフェースカード(NIC)を内蔵。NICとリソースアグリゲーター間でOpen ADRプロトコルで通信を行い、ベースラインを大型蓄電池サーバーに送信する。また、大型蓄電池サーバーから受信するDR(デマンドレスポンス=受容応答)指令に基づきPCSを制御して充放電することで需給バランスを改善する。
2020年8月に採択された経済産業省の補助事業「令和2年度 需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業費補助金」を利用した。2020年9月に着工、2021年2月に竣工し運転を開始した。
同社は2016年度からVPP構築実証事業に参画し、2017年度には京都事業所にコンテナ型ESSを導入し、外部の大型蓄電池サーバーの指令に基づく電力需給調整の実証運用を開始した。今回ESSを追加導入したことにより、さらなる電力コスト削減が可能という。