水素

パナソニック、小型純水素燃料電池の実証実験を開始

エネファームと同じ700Wモデルで低コスト化を目指す

2021/04/09 16:27
宇野麻由子=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 パナソニックは東京都江東区にある自社のショールーム「パナソニックセンター東京」で出力700Wの純水素型燃料電池システムの実証を開始した。同社では、これまで主に業務用途向けの5kWの純水素型燃料電池について実証実験を行ってきた。700Wモデルは現在家庭用に展開している、都市ガス改質による燃料電池コージェネレーション(熱電併給)システム「エネファーム」と同容量で、部品共通化によるコスト低減などを検討しつつ現在開発中であり、今回が初の実証実験とする。

 今回、実証実験として設置した700Wモデルは1日8時間稼働で発電量は約5.6kWhとする。発電した電気はセンター内で利用するほか、コンセントが用意されており一般来場者も電源として利用できる(図1)。

図1●発電の際に生じる水は植栽に利用する。今回、熱は特に利用しておらず、排熱口から体感できるようになっている
図1●発電の際に生じる水は植栽に利用する。今回、熱は特に利用しておらず、排熱口から体感できるようになっている
(出所:日経BP)
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 今回の実証実験では、パイプラインによる水素供給体制が整っていない場所での使用を想定し、水素はガスシリンダーでの供給としている。センター内にはシリンダー20本が設置されており、約1カ月で消費し新たなシリンダーと交換する。使用する水素は岩谷産業によるもので、現在は化石燃料の改質または副生水素由来の水素を利用する(図2)。

図2●シリンダーからのパイプが純水素型燃料電池につながっている。1本使い切るごとに自動で切り替えられる
図2●シリンダーからのパイプが純水素型燃料電池につながっている。1本使い切るごとに自動で切り替えられる
(出所:日経BP)
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 なお、5kWモデルについては2021年10月に発売する予定。複数台連結して利用できるのが特徴で、単独設置から発電施設としての利用を想定した10MWでの利用も可能とする。東京五輪の選手村跡地を利用する「HARUMI FLAG」では5kWモデル6台を連結したものを4カ所に設置し、共用部分への電力や足湯・温泉などへの熱を供給する(図3)。

図3●5kWの純水素型燃料電池(右)と700Wの純水素型燃料電池
図3●5kWの純水素型燃料電池(右)と700Wの純水素型燃料電池
(出所:日経BP)
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 今後、事業での使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的イニシアティブ「RE100」に参加する企業への提供などに力を入れるとする。例えば工場敷地が限られている場合、十分な太陽光パネルの設置は難しい。加えて夜間や悪天候などを想定すると蓄電池の組み合わせが必須となる。ここに補助的に純水素型燃料電池を加えることで、必要な太陽光パネルや蓄電池の数を減らし使用スペースを抑えつつ電気の安定供給を実現できるという利点を売り込む。同社では、日本のRE100に関する市場は2023~2024年頃から拡大していくと見込んでいる(図4)。

図4●将来的には⼯場の太陽光パネルで発電し、余剰分を⽔の電気分解により⽔素とすることを想定している。水素は⼯場内の純水素型燃料電池で電力として使うほか、フォーククリフトなど燃料電池⾞で利⽤したり近接する住宅などで使うといった形も想定している
図4●将来的には⼯場の太陽光パネルで発電し、余剰分を⽔の電気分解により⽔素とすることを想定している。水素は⼯場内の純水素型燃料電池で電力として使うほか、フォーククリフトなど燃料電池⾞で利⽤したり近接する住宅などで使うといった形も想定している
(出所:日経BP)
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 こうした水素利用の動向に関しては、日経BP 総合研究所が発行した「世界水素ビジネス-全体動向編-」の中で、「作る」「運ぶ/貯める」「使う」ための各種技術の解説のほか、中国・韓国・欧⽶豪の戦略を分析、2050年までの水素普及シナリオを紹介している(「世界⽔素ビジネス-全体動向編-」の案内サイト)。

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