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洋上風力における「相互干渉」、九大と企業が解析

2021/04/20 20:18
工藤宗介=技術ライター
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風車ウエイクの気流構造の概念図
風車ウエイクの気流構造の概念図
(出所:九州大学などの共同リリース)
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デンマークの洋上ウインドファーム(Horns Rev1)における実現象、従来技術とCFDポーラスディスク・ウエイクモデルとの比較
デンマークの洋上ウインドファーム(Horns Rev1)における実現象、従来技術とCFDポーラスディスク・ウエイクモデルとの比較
CFDポーラスディスク・ウエイクモデルは風車ウエイクの相互干渉を再現できる(出所:九州大学などの共同リリース)
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 九州大学と東芝エネルギーシステムズ(川崎市)、日立造船、東京ガス、ジャパン・リニューアブル・エナジー(東京都港区)は4月19日、大規模洋上風力発電の導入を支援する高精度風況精査手法の確立および標準化について共同研究契約を締結したと発表した。

 風力発電では、一般的にブレード(羽根)の回転に伴い下流側に「風車ウエイク」と呼ばれる風速の欠損領域が形成される。複数の風車群から構成される大規模洋上ウインドファームでは、風車ウエイクが相互干渉し、下流側の風車群に直接的な影響を与える恐れがある。具体的には、期待した発電量が得られない、突発的な故障や事故が発生するなどの課題が考えられる。

 今回の共同研究のコア技術は、九州大学が開発する「数値風況予測モデル・リアムコンパクト」。風向変化や大気安定度などを考慮しつつ、ブレードの回転に起因した風車ウエイクと、その非線形・相互干渉を時間の変化とともに忠実に再現できるという。

 2018年4月からは、東芝エネルギーシステムズ、日立造船との共同研究により、風力発電事業者が利用しやすい「CFDポーラスディスク・ウエイクモデル」を開発し、実際の風力発電所の風車ウエイク実測データと比較してその有効性を実証した。現在、2021年度中のリリースを目指し、同ウエイクモデルを実装した「洋上版リアムコンパクト・ソフトウエア」の準備を進めている。

 今回発表した共同研究では、洋上版リアムコンパクト・ソフトウエアに基づき、日本版バーチャル洋上ウインドファームの構築と、導入に関する標準化手法(ガイドライン)の確立を目指す。大規模洋上風力発電の適切な導入を支援するため、「再エネ海域利用法」の促進区域に的を絞り、大気安定度などを考慮した海風・陸風の洋上風況特性、洋上乱流特性を明らかにする。

 風上側風車群が形成するウエイク相互干渉領域が風下側風車群に与える影響を、発電量などの経済性および耐久性の両面から解析し、ウインドファーム全体の導入・運用に関する最適化手法の確立を目指す。最終的には、大規模洋上風力発電の導入に関する技術検討項目とそのフローをガイドラインとして整理することを検討する。研究期間は2021年1月20日~2024年3月31日。

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