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全国100カ所に「脱炭素先行地域」、脱炭素ロードマップで

人口1000人規模、設備投資40~100億円を想定

2021/04/22 19:55
工藤宗介=技術ライター
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農山漁村の「脱炭素先行地域」のイメージ
(出所:内閣官房、国・地方脱炭素実現会議)
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都市街区の「脱炭素先行地域」のイメージ
(出所:内閣官房、国・地方脱炭素実現会議)
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 政府は、4月20日に開催された第2回「国・地方脱炭素実現会議」において「地域脱炭素ロードマップ」骨子案を取りまとめた。政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に先行して、2030年度までに脱炭素化を実現する「脱炭素先行地域」を全国100カ所以上に創出する。

 「脱炭素先行地域」では、2025年度までに脱炭素への道筋をつけ、2030年度までにその実現を目指す。再生可能エネルギーの地産地消や新築住宅・施設のZEH・ZEB標準化などにより、民生部門(家庭・業務ビルなど)の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロとする。不足する分は、区域内外のCO2排出ゼロ電気を融通することで、全体としての脱炭素を達成する。

 さらに、地域特性に応じて運輸部門や熱利用なども含めてCO2を削減する。ゼロカーボン・ドライブ(電動車)の普及、熱需要と合わせた再エネ熱(地中熱・バイオマス・下水熱など)の利用、地域マイクログリッド・自営線・熱導管の導入による地産地消とレジリエンスの向上、資源循環の取り組み、廃棄物処理や下水処理などの公共インフラにおける創エネなどに取り組む。エネルギー管理システムやブロックチェーン技術も活用し、できるだけ需給一体型で費用効率的に脱炭素化するとともに、成果を確認・記録できる方法を追求する。

 各地域の多様な実情に応じて、適用可能な最新技術を選択、活用していく。農山漁村では営農型再エネ、木質や家畜排せつ物などのバイオマス、地熱発電、スマート農林水産業、森林整備など、離島では洋上風力や太陽光などの再エネ、水素利用、船舶の電動化など、都市部街区では住宅・公共施設・駐車場の屋根置き太陽光、再エネ熱利用などを想定する。さらに、廃棄物広域処理や公共交通などの近隣市町村間連携、再エネポテンシャルが豊富な地方と都市の大消費地との連携なども検討していく。

 脱炭素化実現による経済規模は、人口1000人の脱炭素先行地域を想定して民生部門の電力消費CO2ゼロを実現した場合、住宅・ビル・電動車・再エネ電源などの設備投資に約40~100億円程度(直接約34~72億円、波及約11~24億円)、雇用規模約80~180人と試算する。また、脱炭素実現後の再エネ売上や省エネコスト削減に年額約3~5億円(直接年額約2.1~3.9億円、波及年額約0.7~1.3億円)、雇用規模約30~50人を見込んでいる。

 試算には、脱炭素の追加的な投資額ではなく、通常仕様の設備投資額(置き換わる部分)も含まれる。投資や売り上げには、地域外から得られるものだけでなく、地域内で発生するものも含まれる。また、脱炭素実現のための経済活動は、設備投資やコスト削減だけでなく、防災・強靭性、健康・快適性、利便性の向上など、さまざまな便益も得られるとしている。

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