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温泉井を活用したバイナリー地熱発電、高山市で稼働

2021/04/23 22:31
工藤宗介=技術ライター
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TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の外観
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の外観
(出所:竹中工務店)
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バイナリー発電設備
バイナリー発電設備
(出所:竹中工務店)
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TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の仕組み
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の仕組み
(出所:竹中工務店)
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 竹中工務店(大阪市)は、既存の温泉井を活用したバイナリー方式による地熱発電事業に参入した。岐阜県高山市において、奥飛騨宝温泉協同組合と協働して「TAKENAKA奥飛騨地熱発電所」を建設、3月から発電を開始した。4月20日に発表した。

 出力は49.9kW、年間発電量は一般家庭約100戸分に相当する約500MWhを見込む。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)に基づき中部電力パワーグリッドに売電する。FIT単価は40円/kWh。また、エネルギーの地産地消に向けて、一部を同施設内にある組合の温泉供給設備でも活用する。

 バイナリー発電設備は第一実業製。熱交換器選定の自由度が高く、冷媒を直接蒸気で加熱できるタイプを採用した。蒸気による冷媒の加熱効率が上がるとともに、冷媒を加熱する水の循環ポンプが不要となるため、従来と比べて発電量が約20%向上した。

 また、今回採用した熱交換器(蒸発器)は、分解して冷媒を抜かなくてもスケール(温泉成分)の除去が可能で、コンパクトかつメンテナンス製に優れる。従来のプレート方式は、配管内に固着するスケール除去のために熱交換器内を分解する必要があった。

 このほかにも、温泉井の揚湯管を見直し、従来の人工的に汲み上げるエアリフト方式から、動力を必要とせず自然に噴出する自噴井に改修することで効率的な発電を可能にした。

 豊富な熱源を活用した発電事業を検討する奥飛騨宝温泉協同組合と、既存の温泉井を活用した発電事業を目指し全国で調査してきた竹中工務店の意向が重なり、共同事業化につながった。今後も、同区域での地熱資源の調査を進めていくとしている。

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