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新築住宅への「太陽光義務化」、議論スタート、賛否両論に

2021/04/26 22:46
工藤宗介=技術ライター
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住宅屋根への太陽光導入件数の推移。新築は年間6~7万件で横ばい、既築は下げ止まりも
(出所:国交省)
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 国土交通省は4月19日、第1回「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を開催した。「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて、新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化などについて議論した。

 同検討会は、脱炭素化に向けた住宅・建築物におけるハード・ソフト両面の取り組みと施策の方向性を関係者に幅広く議論することを目的としたもの。第1回は、現状報告と論点を確認し、参加者それぞれの立場から自由に意見を述べた。

 新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化について、鳥取県の平井伸治知事は「現場から見たら、何を言っているのか」と反対の立場を表明した。平井知事によると、最近の政府の制度は、太陽光発電を住宅に設置できない仕組みになっていると指摘。例えば、固定価格買取制度(FIT)の買取単価は割が合わないほど低下しており、自家消費向けに蓄電池を導入するといった思い切った助成制度が必要とした。

 また、同県を含む積雪地帯では屋根上に太陽光パネルを設置すること自体が難しく、積雪寒冷地に対して上乗せ助成をするといった施策がない限り普及が進まないのではないかとの懸念を示した。このほかにも、昼間の余剰電力を十分活用できない電気料金体系の見直しも必要と指摘し、一律の義務化は乱暴な議論なのではないかと述べた。

 主婦連合会の有田芳子会長も、早々な設置義務化は難しいとの認識を示した。安価とはいえないイニシャルの原資をどうするのかを課題に挙げた。また、住宅価格の年収倍率が上がってきている状況で、設置した場合の投資回収が現状見込めないなかでは、住宅取得にも影響が出るのではないかと懸念する。設置義務化の前に、ZEB・ZEHへの誘導と並行して設置への環境づくりを行っていき、消費者自らが設置の選択をするように促すべきではないかと述べた。

 一方、京都大学の諸富徹教授は「是非やるべき」と、積極的に賛成した。再エネの飛躍的な拡大は今後の日本の脱炭素化に不可避であり、住宅屋根への設置は重要なポテンシャルを持つと指摘。そのポテンシャルを生かすには、消費者の選択を待つのではなく義務付けが必要とした。

 平井知事が指摘するFITでは採算が取れなくなっているという課題に対しては、FITに頼らないビジネスモデルとして自家消費モデルへの切り替えを提案。また、事業者側の初期負担で設備を設置するオンサイトPPA(電力購入契約)モデルといった新しいビジネスモデルを普及させることで、過度なコストを負担させることなく太陽光パネルの設置を義務付けることが可能とした。

 東北芸術工科大学の竹内昌義教授も、日当たりの悪いところへの例外措置はあるにせよ、少なくとも義務化はしていくべきと述べた。太陽光発電の利点として、夏の電力需要のピーク時に最も効果を発揮するため、自家消費できるような形であれば全体の電気の需要に対する平準化もできる点を挙げた。

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