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太陽光とレドックスフロー電池を1年間稼働、埼玉工大が実証

2021/04/27 17:48
工藤宗介=技術ライター
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レドックスフロー電池
(出所:埼玉工業大学)
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レドックスフロー電池からの給電による外部間接照明
(出所:埼玉工業大学)
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レドックスフロー電池からの給電による館内照明
(出所:埼玉工業大学)
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 埼玉工業大学は4月23日、太陽光発電とレドックスフロー電池を組み合わせた電力需給システムを学内施設「ものづくり研究センター」に設置し、1年間の実証実験を実施したと発表した。2020年3月11日から3000時間の稼働を実現した。

 レドックスフロー電池は、電解液が電池セルと電解液タンクの間を循環する際に充電と放電を行う仕組み。電池反応に関する部材の劣化がないため長寿命であり、不燃性の材料から構成されることから爆発や発火が起きず安全性に優れる。各電池セル間の充電度合いが均一化され高負荷の変動への対応にも優れることから、電力変動の大きい再エネ用の蓄電池に適する。

 今回の実証実験に用いたバナジウム系レドックスフロー電池(VRFB)は容量6.6kWhで、一戸建て住宅1軒分の電力需要を想定した。充電は、出力3.1kWの太陽光パネルと最大5.0kWの電力系統を切り替えることが可能。電力需給システム、レドックスフロー電池、パワーコンディショナー(PCS)は、韓国のエネルギー関連企業HI GROUP Energy & HVACとの共同開発。太陽光パネルはサンテックパワージャパン製を採用した。

 実証実験では、太陽光パネルで発電した電力を、ものづくり研究センター館内の各種LED照明(館内スポット照明、間接照明、電池室照明)に給電するとともに、余剰電力をレドックスフロー電池に蓄電した。曇りの日など館内消費の必要量に対して太陽光発電が不足する場合はレドックスフロー電池から自動的に放電し、太陽光パネルと合わせて館内照明に給電した。夜間など太陽光発電の電力がない場合は、電力会社からの供給電力により充電しておき、電気を供給した。

 1年間の気象サイクルによる太陽光パネルでの発電とレドックスフロー電池への充電、館内照明設備への給電といった実環境における動作データを取得した。特に、太陽光発電の余剰電力を充電する稼働方式では、従来利用されていなかった電気を貯めて夜間に使用する運用を実証し、再エネの高効率な利用を実現する蓄電池の実用化に向けた技術が実証できたという。また、レドックスフロー電池の更なる性能向上を目指した課題と改善手法も明確になった。

 レドックスフロー電池は、高い安全性と耐久性、システム保証20年以上のメンテナンスフリー性などの特徴を備え、大容量化にも対応可能なため、定置型の中容量~大容量の蓄電池としての利用に期待される。また、地震や台風などの自然災害による停電対策として、自治体庁舎や病院の非常用電源としても利用できるという。

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